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「処方薬によるマグネシウム欠乏症〜Vol.1〜」

この記事の執筆者

一般社団法人 日本オーソモレキュラー医学会

マグネシウムは、体のエネルギー作りや神経・筋肉の働きなど、多くの健康に欠かせないミネラルです。しかし、薬の使用やストレス、飲酒、加工食品中心の食生活などにより、気づかないうちに不足しやすい栄養素でもあります。

特に胃薬<プロトンポンプ阻害薬(PPI)>はマグネシウムやビタミンB12の不足を招き、骨や腎臓、腸内環境への影響が報告されています。

血液検査では不足が見つかりにくいため、症状や生活習慣をふまえ、数週間の補充で体調の変化を見る方法もあります。

日々の食事やサプリメントで、意識的にマグネシウムをとることが大切です。

マグネシウムの有益性

<プロトンポンプ阻害薬>

マグネシウムは、おそらく医学の歴史の中で最も有用でありながら、最も見過ごされてきたミネラルの一つでしょう(少なくともこれまでは)。ほぼすべての生理学的プロセスに関与しており、数多くの利点があります。

以下のサンバースト図<図1>は、マグネシウムがいかに有益であるかを示しています。

<図1>

注目すべき点は、マグネシウムが不可欠とされる分野が非常に多岐にわたっていることです。

しかし、今日の医療現場で広く使用されている多くの処方薬によって、マグネシウム不足が引き起こされるのが現状です。

<イラスト1>

プロトポンプ阻害薬(PPI)について

実際のところ、この分野(いわゆる「薬剤による栄養素の枯渇」)は、医学の中でもほとんど、あるいはまったくと言っていいほど語られることのない領域です。

良い例が、胃酸過多の治療によく処方されるプロトンポンプ阻害薬(PPI)です。PPIはかつて有用であると大きく宣伝されてきましたが、現在ではその有効性が過大評価されていたことが広く知られるようになっています。

PPIはマグネシウムをはじめとする多くのミネラルを消耗させるだけでなく、ビタミンB12欠乏症の原因となることがあり、骨折リスクの増加、腎疾患、さらには腸内細菌叢の乱れを引き起こすことも知られています。

マグネシウムが診断上、重要視されにくくなってしまった理由の一つは、「低マグネシウム血症(hypomagnesemia)」の診断が実際には非常に困難であることにあります。

通常、医師は診断の補助として血液検査を行いますが、マグネシウムの血清値は、体内の他の組織で欠乏が起きていたとしても、一定に保たれる傾向があります。つまり、筋肉などでマグネシウムが不足していても、血中濃度は0.65mmol/L(欠乏と診断される基準値)を上回ることがあるのです。

マグネシウム欠乏症について

マグネシウム欠乏症を診断する最も有効な方法の一つは、実は「事後的アプローチ」です。

具体的には、しっかりとした問診(通常の外来で割り当てられる5分間ではとても足りません)を行い、複数の血液検査(ほとんどの場合は低マグネシウム血症の兆候が出ません)を実施した上で、マグネシウム欠乏の疑いがあれば、数週間(最大3ヶ月)にわたる補充療法を試してみます。

そして症状が改善されれば、それが診断の裏付けとなるのです。このような診断法は機能性医学のクリニックで行われていますが、一般の診療所ではほとんど行われていません。

以下の簡略化された図<図2>は、マグネシウム代謝の概要を示したものです:

<図2>

マグネシウムのバランスをプラスに保つためには、1日に300mg以上の摂取が必要であることは明らかです。
これは、発汗、アルコールやコーヒーの摂取、炭水化物の代謝、薬物(処方薬および娯楽目的の薬物)の代謝、あるいは腸管での吸収不良による損失が一切ないという前提に基づいていますが、それは現実的とは言えません。

以下の図<図3>は、マグネシウム濃度に悪影響を及ぼす多くの薬剤を概観したものです。

<図3>

ご覧の通り、その数は非常に多く、薬剤がマグネシウム欠乏を引き起こすメカニズムは多岐にわたります。
しかし、主な排泄経路は次の2つに集約されます:

  1. 腎臓からのマグネシウム喪失(腎性マグネシウム浪費)
  2. 消化管(GI)からの喪失

次回は、これらの排泄経路とその仕組みについて解説していきます。

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