オメガ3脂肪酸の中でも、特に重要なのがEPAとDHAです。
【脳の健康】魚油と藻類油、選ぶならどちら?
オメガ3脂肪酸は、脳の健康や認知機能の維持に重要な栄養素として多くの研究が行われています。従来は魚油(フィッシュオイル)が代表的な供給源とされてきましたが、近年では藻類油(アルジーオイル)も新たな選択肢として注目されています。
本記事では、魚油と藻類油の違いを比較するとともに、EPA・DHAの働きや最新の研究知見を踏まえ、オーソモレキュラー医学の視点から脳の健康を支える栄養について解説します。
脳を支えるEPAとDHA
DHAは脳細胞を構成する主要な脂質の一つであり、細胞膜の柔軟性を保ち、神経細胞同士の情報伝達を支える重要な役割を担っています。
一方、EPAは炎症の調節や血流の維持に関与し、気分や認知機能にも影響を及ぼすことが知られています。
近年の研究では、体内のオメガ3脂肪酸レベルが高い人ほど、認知機能が良好で、加齢による認知機能低下のリスクも低いことが報告されています。
ビタミンB群との相乗効果にも注目
オックスフォード大学が実施した「VITACOG研究」では、興味深い結果が得られました。
血液中のオメガ3脂肪酸濃度が高い人ほど、ホモシステインを低下させるビタミンB群の効果が大きく現れ、脳萎縮の進行や認知機能の低下がより抑えられたのです。
この研究は、脳の健康を守るためには一つの栄養素だけでなく、複数の栄養素が互いに作用し合うことの重要性を示しています。
また近年では、更年期以降のホルモン変化によって脳の健康が影響を受けやすい女性にとっても、十分なオメガ3脂肪酸を維持することが重要である可能性が示されています。
魚油と藻類油との違い
魚油はイワシやサバ、アンチョビなどの青魚から抽出されるオメガ3脂肪酸です。
一方、藻類油は海洋に生息する微細藻類から直接抽出されます。
実は、魚自身がEPAやDHAを作り出しているわけではありません。
魚は藻類や、それを食べた生物を摂取することでEPAやDHAを体内に蓄積しています。
つまり、魚に含まれるオメガ3脂肪酸の"元"をたどると、藻類に行き着くのです。
栄養学的には、魚油と藻類油はいずれも生体で利用されるEPAとDHAを補給できる点で共通しています。
異なるのは、原料や製造方法、そして製品ごとのEPA・DHAの配合比率などです。
藻類油は魚油に劣るのか?
これまで魚油は数十年にわたり研究が積み重ねられてきたため、科学的エビデンスは魚油の方が豊富です。
しかし、それは「魚油の方が優れている」という意味ではありません。
2025年に報告されたヒト試験では、藻類由来のEPA・DHAは魚油由来のEPA・DHAと同程度に吸収されることが確認されました。
この結果から、植物由来の食生活を実践している方や魚を食べない方にとって、藻類油は十分に有効な選択肢であると考えられています。
大切なのは「何を飲むか」より「体内でどうなっているか」
オメガ3サプリメントを飲んでいるからといって、必ずしも体内のオメガ3脂肪酸が十分とは限りません。
血中濃度は、食生活や摂取量だけでなく、遺伝的要因や吸収率、サプリメントの品質などによっても大きく左右されます。
そのため近年では、「サプリメントを飲むこと」だけでなく、「実際に血液中のオメガ3脂肪酸が十分なレベルに達しているか」を確認することの重要性が指摘されています。
まとめ
魚油も藻類油も、脳の健康維持に重要なEPAとDHAを補給できる優れた供給源です。
魚油は長年にわたり研究されてきた実績がありますが、近年の研究では藻類油も同様に血中EPA・DHA濃度を高められることが示されています。
そして、この研究が最も伝えたいことは、「魚由来か藻類由来か」という違いではありません。
本当に重要なのは、体内に十分なオメガ3脂肪酸が存在し、それが脳の健康維持に役立っているかどうかです。
日々の食事やサプリメントを見直す際には、「どちらを選ぶか」だけでなく、「必要量を適切に摂取できているか」という視点も大切にしたいものです。
オーソモレキュラー医学では、一つの栄養素だけに着目するのではなく、体内の栄養バランス全体を整えることを重視します。オメガ3脂肪酸もその重要な要素の一つですが、食事や生活習慣を含めた総合的な栄養管理によってこそ、本来の力を発揮すると考えられています。
日々の健康づくりでは、一つの食品やサプリメントに頼るのではなく、自身の栄養状態を正しく把握し、必要な栄養素をバランスよく補うことが、脳の健康を維持するための基本といえるでしょう。
出典
Food for the Brain Foundation
“Algae Oil vs Fish Oil for Brain Health: What's the Difference?”
※本記事は、Food for the Brain Foundationに掲載された記事をもとに、日本オーソモレキュラー医学会にて翻訳・編集しています。
柳澤 厚生 (ヤナギサワ アツオ)先生の関連動画
同じタグの記事を読む