ビタミンB1は抗がん作用もあると言われています。
- 治療法・栄養
ビタミンB1と健康「エネルギー産生、うつ病、がん、物忘れ」Vol.2
ビタミンB1には抗がん作用があり、ベンズアルデヒドを用いたがん治療を発見した日本の医師である東風睦之先生は、イチジク由来のベンズアルデヒドで進行がん患者65名を治療し、完全寛解7名、部分寛解29名の有効率55%を報告しました。
副作用はなく、がん細胞の増殖に必要な酵素チロシンキナーゼを阻害することで作用します。
治療にはベンフォチアミンやパラヒドロキシベンズアルデヒド、点滴ではコカルボキシラーゼが用いられます。
抗がん作用
日本においては、東風睦之先生が発見されたベンズアルデヒドによるがん治療が知る人ぞ知る治療となっています。東風先生は、その結果を1985年に、米国国立がん研究所の学術誌、Cancer treatment reportsに発表しました。内容は次の通りです。
イチジク抽出液からがんに有効な成分を分離してこれをベンズアルデヒドと同定しました。
この物質を手術不可能である進行したがん患者65人を対象として、がん治療効果を調べたところ、有効率が55%だったのです。7人の患者が完全寛解、29人が部分寛解となり、24人は症状が安定したままで、5人は症状が悪化したのです。生存期間の延長には確実に効果があったとしています。
完全寛解の7名と部分寛解の29名を合わせた36名が65名の55%という計算ですが、症状が悪化したのは5名ですから、安定していた24名にも何らかのプラスの作用があったのではないかと推測します。さらに、副作用はまったく認めませんでした。
これは、末期がん患者に対する治療成績ですので、素晴らしい結果だと思います。
けれども、この研究が大きく取り上げられることはありませんでした。理由は、おそらくビタミンでがんが治療できてしまっては困るという製薬会社の意図が働いたためと思われます。
東風先生の一条病院で2か月研修をして同じ治療を京都で実践している岡崎公彦先生が「がんの特効薬は発見済みだ」という本を出版しています。
「がんの特効薬は発見済みだ!」 (たま出版)岡崎公彦著
また、高橋亨先生も「進行がん患者を救う 『奇跡の治療薬』への挑戦」という本を2018年に出版なさっています。
「進行がん患者を救う「奇跡の治療薬」への挑戦」(幻冬舎)高橋亨著
治療効果のメカニズムは以下の通りです。
がん細胞の分裂と増殖にはチロシンにチロシンキナーゼという酵素が結合することが必要です。ベンズアルデヒドはチロシンに化学構造が似ているため、チロシンキナーゼが結合して、チロシンとの結合を防ぎます。するとがん細胞が分裂、増殖できなくなるのです。
ベンズアルデヒドの薬としては、ベンフォチアミン(ビオトーワ錠)とパラヒドロキシベンズアルデヒドの2つがあります。早期がんにはベンフォチアミン、進行がんにはパラヒドロキシベンズアルデヒドを使うようです。
岡崎先生の著書によると、がんの治療では、以下のように紹介されています。
<図1>

体調、症状によって多少変わるそうです。
薬を少しずつ増やして行くのは、がん組織からの出血を避けるためです。
治療効果のメカニズムは以下の通りです。
がん細胞の分裂と増殖にはチロシンにチロシンキナーゼという酵素が結合することが必要です。ベンズアルデヒドはチロシンに化学構造が似ているため、チロシンキナーゼが結合して、チロシンとの結合を防ぎます。するとがん細胞が分裂、増殖できなくなるのです。
ベンズアルデヒドの薬としては、ベンフォチアミン(ビオトーワ錠)とパラヒドロキシベンズアルデヒドの2つがあります。早期がんにはベンフォチアミン、進行がんにはパラヒドロキシベンズアルデヒドを使うようです。
ビタミンB群の仲間
ビタミンB1
ビタミンB2
ビタミンB6
ビタミンB12
ナイアシン(ビタミンB3)
パントテン酸(ビタミンB5)
葉酸
ビオチン
があります。
B3にナイアシン、B5にパントテン酸という名前が付いているのは、先に発見されていて名前が付き、後からビタミンB群とされたからです。
数字がとびとびになっているのは、体内で作れないというビタミンの定義に合っていないことがわかって外されたものになります。
さらにこの8種類に加えてビタミン様物質である
アデニン(ビタミンB4)
オロチン酸(ビタミンB13)
パンガミン酸(ビタミンB15)
アミグタリン(ビタミンB17)
イノシトール
コリン
パラアミノ安息香酸
カルニチン
もB群とされています。
パラアミノ安息香酸は、腸内細菌の善玉菌を増やす働きを持っています。
ビタミンB1の吸収に必要なもの
ビタミンB1の吸収には葉酸、ナトリウムが必要です。不足しないように気を付けなければいけません。
また、ビタミンB1の代謝にはマグネシウムが必要です。
玉ねぎ、にんにく、ニラ、ネギなどの香りの強い野菜に多含まれているアリシンと一緒に料理をすると、ビタミンB1の腸での吸収が良くなります。
これらの野菜と豚肉の料理としては、餃子、豚の生姜焼きと玉ねぎ炒め、豚のスープなど、簡単で美味しくできるものが多くあります。餃子は皮が糖質ですのであまりお勧めはできませんが・・・
ビタミンB群は互いに補いあって作用します。ですので、同時に摂取することが必要であり、その意味でビタミンBの合剤をサプリメントとして摂取することは理にかなっているといえるでしょう。

ビタミン点滴では、コカルボキシラーゼを使用しています。ビタミンB1の点滴用薬剤にはほかにも様々なものがありますが、チアミンからコカルボキシラーゼに変換されてから作用するものは効率が悪いと考えているからです。
(2019年7月追記)
残念ながら、私がスウェーデンに行っていたH30年にコカルボキシラーゼの注射薬が製造中止となってしまいました。良いものが製造中止になるのはとても悲しいことです。
<参考文献>
Kunisawa J et al. Mode of Bioenergetic Metabolism during B Cell Differentiation in the Intestine Determines the Distinct Requirement for Vitamin B1. Cell Rep. 2015 Oct 6;13(1):122-131. doi:10.1016/j.celrep.2015.08.063. Epub 2015 Sep 24.
Kochi M et al. Antitumor activity of benzaldehyde. Cancer treatment reports. 1980 Jan;64(1):21-3.
岡崎公彦 がんの特効薬は発見済みだ! たま出版 2011年
高橋亨 「進行がん患者を救う 『奇跡の治療薬』への挑戦」幻冬舎 2018年
※本記事は宮川路子先生のホームページ「宮川路子の水素栄養療法」にて掲載された「ビタミンB1と健康「エネルギー産生、うつ病、がん、物忘れ」」を、許可を得た上で転載しております。
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