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亜鉛不足を招く要因と薬剤 vol.1

なぜ亜鉛不足は見逃されるのか?

この記事の執筆者

一般社団法人 日本オーソモレキュラー医学会

亜鉛は、免疫や味覚、皮膚、ホルモンバランスなど全身の健康を支える重要なミネラルです。しかし、血液検査だけでは不足を見つけにくく、気づかないうちに欠乏していることも少なくありません。本記事では、亜鉛不足が見逃される理由や、食事・生活習慣からできる対策について分かりやすく解説します。

亜鉛の役割

亜鉛は、私たちの体が正常に機能するために必要不可欠なミネラルの一つです。マグネシウムと同様に、体内のさまざまな生理機能において多岐にわたる役割を担っており、まさに身体の仕組みを支える重要な構成要素といえます。

DNAやタンパク質の合成をはじめ、多くの生化学反応や酵素反応において補因子として機能するなど、亜鉛は不可欠な存在です。具体的には、視覚、聴覚、味覚、精子形成、性成熟、免疫機能、創傷治癒といった分野で重要な役割を果たします。さらにそれだけでなく、抗酸化作用、タンパク質の折りたたみ(フォールディング)への関与、抗炎症作用、抗ウイルス作用といった機能も備えています。

こちらは、亜鉛が健康および各種疾患の分野においてどのように寄与し、治療に役立っているかを示した、もう一つの見やすいサンバーストチャートです。

亜鉛不足が見逃されやすい理由

亜鉛欠乏は、マグネシウムに次いで、最も見逃されやすく、かつ広く存在している栄養欠乏の一つです。その理由の一つは、亜鉛の状態を評価することが比較的難しい点にあります。血清亜鉛値は組織内の亜鉛レベルを必ずしも反映せず、この点はマグネシウムと類似しています。また、多くの医療従事者にとって十分に注意が向けられていないことも要因です。

血液検査だけでは判断しにくいこと

成人における平均的な血清亜鉛値(血液検体)は70~120 µg/dL(10.7~18.4 µmol/L)とされていますが、これは測定時刻や空腹時か摂食後かによって変動します。さらに、感染、外傷、慢性炎症性疾患の存在も、この値を低下させる要因となります。加えて、亜鉛のほとんどはタンパク質と結合しており、イオン化(遊離)状態の亜鉛は1%未満に過ぎません。このため、感染や炎症によって血中タンパク質が変動すると、亜鉛と結合しているタンパク質量も変化し、検査結果の解釈が難しくなります。

問診で確認すべきポイント

こうした理由から、血清亜鉛の測定に加えて、高感度C反応性タンパク(hs-CRP)、血清アルブミンの評価、そして十分に時間をかけた臨床的問診(短時間の形式的なものではなく)が重要となります。具体的には、食事内容、吸収不良症候群(潰瘍性大腸炎や下痢の有無など)、爪の白点の有無、上記チャートに示された低身長、鎌状赤血球症、免疫不全、夜盲、皮膚炎といった状態の有無、さらに特に重要なのは、亜鉛を減少させる薬剤を服用しているかどうかを確認することです。

マグネシウムと同様に、亜鉛欠乏を評価する有効な方法の一つは、亜鉛補給を試験的に行うことです。具体的な数値や剤形については後述しますが、その前に、亜鉛の吸収および排泄の仕組みについて簡単に説明することが重要です。

食品からの摂取方法

食品における亜鉛の豊富な供給源は、含有量の多い順に以下の通りです:

  • 牡蠣(85gあたり74~90mg)
  • 赤身肉(牛肉 85gあたり4.5~5.5mg)(ラム肉 85gあたり4~6mg)
  • 甲殻類(カニ 85gあたり6.5mg)(ロブスター 85gあたり3~4mg)(エビ 85gあたり1~2mg)
  • 種子類(カボチャの種 28gあたり2~3mg)(ヘンプシード 28gあたり3mg)

亜鉛の推奨摂取量(RDA)は、男性で1日11mg、女性で8mg、妊娠中は11~12mg、授乳期は12~13mgとされています。これまでの記事でも触れたように、多くの栄養研究は欠乏を防ぐための最低必要量に焦点を当てており、最適な機能を発揮するための摂取量ではありません。そのため、臨床的な効果を確認する目的で、RDAの2倍(場合によっては3倍、あるいは栄養素によっては高用量)を目安とすることがあります。

ベジタリアン・ヴィーガンで不足しやすい理由

また、ベジタリアンやヴィーガンは亜鉛欠乏のリスクが高いとされています。一般的に摂取される高食物繊維の食事にはフィチン酸(イノシトール六リン酸)が多く含まれており、食事から得られる限られた亜鉛の吸収をさらに阻害します。さらに、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)も亜鉛の吸収を妨げるため、サプリメントを摂取する場合は数時間の間隔を空けることが望ましく、また脂質も吸収を阻害するため、低脂肪の食事とともに摂取することが推奨されます。

サプリメントと銅のバランス

亜鉛濃度を低下させる薬剤について説明する前に、最後に一つ重要な点を挙げておきます。亜鉛を摂取する際には、銅と組み合わせたサプリメントとして摂ることが常に推奨されます。というのも、亜鉛を単独で長期間摂取すると、微量ミネラルである銅の欠乏を引き起こす可能性があるためです。

一般的な比率は亜鉛:銅=10:1(例:亜鉛10mgに対して銅1mg)とされていますが、この比率は線形ではなく、摂取量によって吸収比率が異なる可能性があります。それでも、経験則としてはこの比率が概ね適切とされています。

以下は、亜鉛欠乏を引き起こすさまざまな薬剤を示したチャートです:

マグネシウムを減少させる薬剤ほど数は多くないかもしれませんが、これらの薬剤も依然として臨床現場において十分に認識されているとは言えません。次回は、これらの欠乏を引き起こすメカニズムを一つずつ解説していきます。

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