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筋トレとサバ

この記事の執筆者

デンタルスタジオ・ラグフォーム新百合ヶ丘

大学卒業後、高齢者医療と美容医療を平行して取り組むことで、加齢による顎顔面の機能・形態変化の若返りを主眼とした治療を行う様になる。

自己紹介

寒いのが苦手です

目次

    筋トレの日課として鶏胸肉をひたすら食べるという”作業”を昼夜行った結果、内科の検査にて鶏肉の食べ過ぎという診断を受けた筆者。
    出先で食べられる物がなくなり、紆余曲折の上に辿り着いたのがサバです。しかしサバを昼夜食べ続けると、今度はサバの食べ過ぎという診断を内科に下され、外で食べるものがなくなってしまうため、如何にしてサバを効率良く食べるかという作業をメリット・デメリット合わせて真剣に考えて日々を送っています。

    そもそも私はあまりサバが好きではなかったのです。元々、食卓にサバが出ると「うわ~」と気持ちが沈み、鍋を洗う際には魚油の匂いに追い打ちを掛けられます。しかし仕事で外食をする際にはメニューにあれば必ずサバを頼むことで、いつしか店によるサバの味の違いがわかるようになりました。そしてふと気がつけば、よく足を運ぶお店では私が注文する前に「本日もサバでしょうか」と確認されるまでになったのです。

    今回は、サバに多く含まれるオメガ3脂肪酸に焦点を当てお話しします。

    サバとアレルギー

    今回執筆するにあたり、私がサバを選んだ理由は以下の通りです。

    1.牛や豚よりも、古来から日本人が食べており体質に合っているため

    2.流通量が多く、どこにいても入手しやすいため

    3.タンパク源となるだけでなく良質な脂質も摂取できるため

    私が”鶏肉の食べすぎ”という診断を受けた遅延型フードアレルギーは、単一の食物の過剰摂取が原因で起こります。とりわけ伝統的に食されていない外来の食材は、日本人が持ち合わせる腸内細菌叢と相性が合わないことが多く、少量の摂取でも便秘や軟便などの症状を引き起こすこともあります。その点、サバはシメサバという言葉を日常的に目にするように、保存技術が少ない古代より伝統的に食されてきた食材であり、日本人と相性がいいことが伺えます。

    サバと聞くとサバアレルギーを思い浮かべる方も多いかもしれませんね。
    しかし、サバアレルギーは遅延型フードアレルギーとは違い、過剰な摂取のみが原因という訳ではありません。ご存知の方も多いかと思いますが、サバは鮮度が落ちやすく傷みやすい特徴があります。サバはヒスタミンの原料となるヒスチジンと呼ばれるアミノ酸を多く含んでおり、サバの死後は体内のヒスタミン産生菌が増殖することでヒスチジンからアレルギーの原因と成るヒスタミンの合成が促進されてしまいます。そのため、鮮度が落ちたサバの摂取によってサバアレルギーを起こす恐れがあります。
    私の場合は、すでに鶏肉摂取という術を失っているため、サバの過剰摂取だけは避けたいところです。遅延型フードアレルギーを予防するには、1つの食材を摂取した後は2日空ける事が推奨されています。そこで、外食時のみサバを食べるよう心がけることで過剰摂取を抑えています。

    日本ではチェーン店から個人経営の定食屋さんまで、和食を扱うお店であれば目にすることができるサバメニュー。
    コンビニにも豊富な品揃えがあり、外出時サバに困ることはありません。東南アジアではサバは高級魚に位置付けられますが、日本では漁獲量が多く手頃な値段で入手できます。私はサバ缶を購入する際には、食塩の入っていない水煮を選びます。どうしても加工食品を多く摂取すると塩分が過剰になりがちですが、食塩無配合のサバの水煮は原材料が水とサバだけなので、不必要な成分を取る心配もありません。しかも、水揚げ後すぐに缶詰にされるサバ缶は鮮度も高いため、サバアレルギーを引き起こす原因となるヒスタミン産生の抑制が期待できます。
    遅延型アレルギーの改善には最低でも半年ほど該当する食材を断つ必要があります。その間の身体作りを考えると、栄養面での鶏肉との差異が気になるところですが、サバ100g辺りのたんぱく質の含有量を鶏胸肉と比較しても大きな差はありません。

    さらに、オーソモレキュラー医学の観点からみると、サバは良質なタンパク源というだけでなく、DHAやEPAといった良質なオメガ3脂肪酸も多く含んでいます。このオメガ3脂肪酸は人間の健康維持に欠かせないものの、体内では合成できない必須脂肪酸であるため、食事やサプリメントから摂取する必要があります。

    サバに豊富なオメガ3脂肪酸について

    オメガ3脂肪酸の有用性については、1930年代頃より知られています。
    1970年代のグリーンランドのイヌイットに対する調査では、彼らは脂肪摂取が多い食生活であるにも関わらず血圧・心拍数・中性脂肪・アテローム動脈硬化等の循環器疾患が少ないことが明らかになりました。そして、その理由は魚を主体とする食生活にあると考えられています。つまり、脂を取ること自体が悪いのではなく、摂るべき脂を見極めることが大切なのです。

    米国において、オメガ3脂肪酸の欠乏は、トランス脂肪酸の過剰摂取よりも死因への影響が深刻であると考えられていて、オメガ3の適正な摂取により死亡率が27%下がったという報告もあります。さらにオメガ3脂肪酸は、循環器の機能だけでなく認知能力・視力の健全化にも寄与しています。DHAは脳組織や目の網膜にも豊富に使われますし、EPA・DHAはプロスタグランジンE1とE3による抗炎症作用を高め、細胞の生理機能にも影響を及ぼしています。
    オメガ3脂肪酸に含まれているEPAやDHAは体内でも合成されるので、本来の意味ではEPAやDHAは必須脂肪酸には含まれません。
    しかし、オメガ3の前駆体であるα-リポ酸が体内では生成されないため、オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸という扱いになります。

    FDA(アメリカ食品医薬品局)の指針では、オメガ3の摂取は1日3gまでは摂取可能であり、これは妊婦や授乳中の方にも当てはまります。1日3g以上摂取すると、血栓が作られにくくなり出血傾向が認められるようになります。ちなみにサバ100gあたりに含まれるDHA・EPAの量はおよそ2.5g程です。このことからも、1日にサバを大量に摂取する必要がないことがわかります。脂肪酸はサバ半身で150g前後・サバ缶で180g前後含まれるため、実際に摂取する量を少なめにみても必要十分な量が摂取できます。

    オメガ3脂肪酸の副作用としては、摂取過剰によりゲップや軟便または下痢を引き起こすことがあります。こうした点を踏まえると、私は可能な限り日常の食事から脂肪酸を補いたいと考えています。サプリメントからオメガ3の摂取を行う場合は、オーソモレキュラー医学を取り入れている専門医に相談されることをお勧めします。

    サバと長寿

    さらに、DHAとEPAには健康寿命を延ばす鍵とされるテロメアの長さにも影響を与えることがわかってきています。

    カルフォルニア大学での冠動脈疾患の患者608名のテロメアの長さの研究において、DHAとEPAの割合が低いグループはテロメアが短くなるのが早いことから、DHAとEPAはテロメアの短縮を遅延させる働きがあると考えられています。DHAやEPAに含まれているオメガ3脂肪酸は酸化ストレスに抵抗し、テロメラーゼというテロメアに塩基配列を追加し、テロメアが短くならないようにする酵素を活性化させます。また、オハイオ大学でのEPAとDHAを7:1の割合で1日2.5g摂取するグループと1.25g摂取するグループに分けた研究において、どちらのグループにもテロメアの延長が最大で2.5倍確認されています。

    なんとサバは、見た目の身体作りだけでなく、細胞レベルでの身体作りにも効果が期待できる有効な存在なのです。

    まとめ

    ここまで執筆してきた上でサバについて改めて考えてみると、鶏胸肉と同様にたんぱく質を摂取できるだけでなく、良質な脂質も摂れ、さらには健康寿命をも伸ばす可能性があるというのですから、何とも魅力的な存在です。サバが苦手な私でしたが、今ではサバ食はもはや習慣となりました。あとは遅延型フードアレルギーにならないように食べ過ぎないことを心がけるだけです。



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