1分子の脂肪酸を材料にATPを作った場合を見てみると、脂肪酸の種類にもよりますが、グルコースの場合と比べてよほど多くのATPを作ることができます。脂肪酸がβ酸化を何回受けて、いくつのアセチルCoAを作り出すかによって、ATPの数も変わってきます。ほとんどの脂肪酸はグルコースの3倍以上のATPを作り出すことができます。
細胞におけるエネルギー代謝(ATP回路) 健康の基本はミトコンドリアから vol.2
脂肪酸はβ酸化を経てアセチルCoAとなり、クエン酸回路へ入り大量のATPを産生します。一般に脂肪はグルコースの約3倍以上のエネルギーを生み出す効率的な燃料です。一方、エネルギー産生にはビタミンB群、鉄、マグネシウムなどの補酵素が不可欠であり、不足は代謝低下や不調の一因となります。
ミトコンドリア機能の維持・活性化が、健康維持および疾患予防に重要なのです。
脂肪を原料とした場合のエネルギー産生量 β酸化
たとえば、パルミチン散C16H32O2)では、
C16H32O2+23O2 → 16CO2+16H2O+130ATP
130個もATPが作られます。これも、反応式の解釈によって、若干違う数字になります。
ブドウ糖の場合には、解糖系からスタートしなければいけませんが、脂肪酸の場合、直接クエン酸回路に入って、ATPをつくることができますし、得られるエネルギー量は多いのです。脂肪がいかに優れたエネルギー源かがおわかり頂けると思います。
血糖値が高い場合には優先的にブドウ糖からATPが作られます。摂取した脂肪や、体に蓄えられている脂肪(中性脂肪)をATPの材料とするためには、血液中の糖質を減らさなければいけません。ですから、糖質制限が必要となります。
ダイエットのためには、糖質の制限は必須となりますが、優秀なエネルギー源である脂肪やタンパク質は減らす必要はないのです。
ATP回路をスムーズにまわすために必要な栄養素
クエン酸回路と電子伝達系の反応を助ける補酵素には、
- ビタミンB群(ビタミンB1,ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、B12)
- ビタミンC
- 鉄
- マグネシウム
などがあります。
これらが不足すると、エネルギーを作り出すことができなくなります。しっかりと補いましょう。
これ以外にも、生体膜の透過性を高めて物質の移動をスムーズにするためにはビタミンEも必要です。これらをしっかりと摂るようにしてください。
体調不良、病気の方は、まずはエネルギー不足の解消を目指して下さい。
具合が悪いときに、食事だけからでは摂取量が足りないことが多いので、ぜひサプリメントを摂るようにしましょう。
エネルギー産生を高めるためのサプリメント
糖質を食べ過ぎるとその処理のためにこれらのビタミン、ミネラルが不足します。すると、これらを必要としている体内の他の働きが悪くなります。神経伝達物質の不足も糖質過多によって引き起こされます。つまり、うつ病や統合失調症などの精神疾患になるリスクが上がってしまうのです。

<図1>
ミトコンドリアを元気にしましょう!すべての病気はミトコンドリアの不足から
ミトコンドリア研究の第一人者で、水素研究でも有名な太田成男先生は、
すべての病気は「ミトコンドリアが足りなくなった状態」
だとおっしゃっています。
身体の悪い部分を治すにはエネルギーが必要で、ミトコンドリアが充分にあれば、エネルギーで病気を治すことができますが、エネルギー不足の状態では病気になってしまいます。健康でいるためにはミトコンドリアを活性化して、数を増やすことが重要になります。サプリメントを摂る以外に推奨されているミトコンドリアを元気にする方法をご紹介します。
ミトコンドリアを増やす方法
- 運動によりエネルギーを消費する(強めの運動)
- 寒さを感じさせる
- カロリー制限(週1回、1食抜く)
細胞にエネルギー不足を認識させると、細胞がミトコンドリアを増やすのだそうです。短期間でもミトコンドリアは増えますし、鍛えるほど増えて活性化されるといいます。
カロリー制限は、アンチエイジングにとっても重要です!

<コラム>
参考文献
(2) Luo S. Biparental Inheritance of Mitochondrial DNA in Humans. PNAS. 2018 Nov 26. pii: 201810946. doi: 10.1073/pnas.1810946115.
※本記事は宮川路子先生のホームページ『宮川路子の水素栄養療法』にて掲載された『細胞におけるエネルギー代謝(ATP回路) 健康の基本はミトコンドリアから』を、許可を得た上で転載しております。https://eiyouryohou.com/?p=1598
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