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オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(国際オーソモレキュラー医学会会長)
溝口 徹(みぞぐちクリニック)
姫野 友美(ひめのともみクリニック)
北原 健(日本オーソモレキュラー医学会理事)
翻訳協力Wismettacフーズ株式会社ナチュメディカ事業G

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

サプリメントに対する再三の非難

Bill Sardiによる論評

(OMNS、2018年8月31日) また厄介なことになった。「健常で、妊娠も授乳もしていない成人で、1日当たりの推奨量に当たる栄養素を摂っている人々がビタミン補給をすることについて、それを支持する論拠はない」と言う医師が現れたのである[1]。

以下に、彼がまとめたサプリメント関連の批判を一つ一つ取り上げ、それに対する私の見解を述べる。

ビタミンA

ビタミン反対論: 南極や北極の探検家で、アザラシ、ハスキー犬、ホッキョクグマの肝臓を食べた人々にビタミンA中毒の発生が見られており、これは命を奪いかねない。特徴としては、頭蓋内圧の上昇、皮膚炎、吐き気や嘔吐、複視、痙攣が挙げられる。

反証: 確かに、それは数百万単位ものビタミンAを摂った場合の話である。この点は譲歩して認めよう。アザラシやホッキョクグマの肝臓を食べている消費者は皆、自制すべきである。

ビタミン反対論: 他のデータで特に懸念されるのは、フィンランドの喫煙者29,133人にα-トコフェロール(ビタミンE)50 mgもしくはβ-カロテン20 mgのいずれかを与えた研究にてビタミンA を肺ガン発生率における18%の増加に関連付けたもの、ならびに、18,314人の喫煙者(一部はアスベストばく露の経験もあり)を調べた同様の研究にて28%の肺ガン増加に関連付けたものである。

反証: またしても、これではないか? この研究は、すべてのサプリメントを薬として法的に分類しようとした1994年のサプリメント健康教育法(Dietary Supplement Health & Education Act)が議会で通過される直前に、New England Journal of Medicineにて発表されたものである[2]。この研究によるグラフ(下記)を見れば、ここで引用されている18%という肺ガン発生率における差は相対数に過ぎず、絶対数では1%に満たない、ごくわずかな差であることがわかる。

出典: New England Journal Medicine [2]

また、この研究が発表された18年後に公表されたのは、(体内でビタミンAに変換される)β-カロテンを用いたビタミンAの過剰補給は血中ビタミンD値の低下をもたらし、ビタミンD補給によって得られる肺ガン減少効果を打ち消す、というものであった。日光に当たる機会がないフィンランドの男性グループでは、ビタミンDサプリメントによる肺ガンのリスク低下が見られたが、過量のビタミンAを摂っていた場合は、そのリスク低下が見られなかったのである[3]。こうしたフィンランド人男性は、ビタミン剤を減らすのではなく、もっと摂る必要があったのだ。

β-カロテンを過剰に摂っても、日光に対する体内の保護作用をもたらすために皮膚に送られるため、極めて大量のビタミンAを摂った場合に見られるような肝臓への毒性はない。ビタミンAによる肝臓毒性の報告は、飲酒習慣によって肝臓がやられているアルコール依存者の例がほとんどである。

有用栄養物審査会(Council For Responsible Nutrition、略称CRN)によると、「ヒトのデータには、しかし、アルコール摂取、感染性肝炎、肝毒性薬剤、既存の肝疾患というような別の交絡因子があることが多い」。

CRNの報告によると、1日当たり25,000~50,000 IUのビタミンA剤を7カ月以上摂り続ければ、肝臓毒性を含む様々な悪影響をもたらす可能性はあるが、上記の範囲内で摂取した場合の影響は、肝臓の健常性や機能の低下度によって異なると思われる[4]。肝臓の健常性に軽度~中程度の低下が見られる人の場合、悪影響が見られたときにビタミンA補給が原因であると確信できるのは、補給摂取量が約25,000 IU以上の場合である。

ビタミン反対論: ビタミン批判者(名前は伏せておく)は、「男女とも上限値は1日当たり10,000 IU」と述べて、消費者にビタミンAのサプリメントを手離すよう警告している。

反証: しかしながら、上限値というのは完全に安全な上限量であり、毒性の限度ではない。米国医学研究所(Institute of Medicine)によると、「悪影響が見られない摂取量(=無毒性量、略称NOAEL)は、ビタミンA の量で1日15,000 IUである」。CRNの報告によると、1日当たりのビタミンA含有量が5,000 IU、8,000 IU、10,000 IUというサプリメントが安全に使用されてきた長い歴史がある。

ビタミン反対論: 流産や出生異常のおそれがあるため、妊娠中は(ビタミンAの)推奨用量を超えないよう、特に注意する必要がある。

反証: CRNによると、1日用量が30,000 IUであっても、「[ヒト]の場合、催奇形性はない(出生異常をもたらさない)と考えるべきである[4]」。

ビタミンD

ビタミン反対論: 現時点では、臨床的または生化学的な適応のないかぎり、ビタミンDの日常的な補給を支持する根拠はない。男女とも上限値は1日80 mg(320 IU)である。

反証:320 IUなら、血圧の上昇さえ生じない。夏の真昼(午前11時~午後2時)の日差しを30分間全身に浴びれば、副作用を生じることなく、最大10,000 IUのビタミンDを生成することができる。皮膚の色が濃い人は、その4倍の暴露時間を要することもある。ビタミンDは紫外線B波によって生成されるが、米国、カナダ、欧州の冬季で、太陽が水平線から45度以上高く昇らない場合、真昼の日光から得られる紫外線B波の量は、夏の真昼に日差しを浴びた場合の5%に満たない。

こうした推奨量は、日光の照射不足による疾患の蔓延という問題に直面している。子どもが戸外で日光を浴びている時間は週7時間に過ぎないという最近の調査結果もある[5]。オフィスワーカーなど、室内で働く人は、年中欠乏状態にあることが多い。また、日焼け止めは紫外線B波を吸収するため、日光からビタミンDが得られない原因となる。

米国医学研究所の報告によると、米国の人口の約4分の1はビタミンD不足の恐れがあり、8%はビタミンD欠乏症の恐れがある(2001-06)[6]。これは数百万人という数に相当する。よって、ビタミンDのサプリメントは必要なのである。

ビタミンC

ビタミン反対論: 高用量摂取には有害反応との関連が確かに見られているため、健康な人が日常的に補給することに対し、もっともな理由あるとは思われない。男女とも1日当たりの推奨摂取量(RDI)は45 mgであり、許容上限摂取量(UL)はない。

反証: ビタミンCは、疾患やストレスによって消耗し、また、抗酸化機能を果たすことによって酸化しやすい。体内では、赤血球である程度ビタミンCを再生することができる[7]。しかし、この再生機能は、病気になったとき、また毎日の身体的・精神的ストレスによっても、簡単に負けてしまう。ヒトの歴史のはるか昔に生じた遺伝子突然変異によってビタミンCの体内生成は止まってしまい、食事からビタミンCを数ミリグラム(1日110 mgまで)摂っても、その穴埋めはできないのである。こうした突然変異が起こるまで、初期霊長類(人間の遠い祖先)は1日1,800~4,000 mgのビタミンCを内生的に生成し、身体的または精神的なストレスを受けたときはもっと多く生成していたと推定される[8]。大きな手術の後にはビタミンC値が0になることもあり、正常値に戻すには3,000 mgのビタミンCを静脈内投与する必要があることがわかっている[9]。普通のストレスを受けているときや、一般的なウイルス性疾患のときも、同様の消耗が生じ得る。これが、高用量のビタミンC補給を支持する論理的根拠である。静脈内投与で3,000 mgという量は、経口摂取なら10,000~20,000 mgの量を分けて摂ることに相当する。

このビタミン批判者による但し書きは、「健常で、妊娠も授乳もしていない成人で、1日当たりの推奨量に当たる栄養素を摂っている人々がビタミン補給をすることについて、それを支持する論拠はない」。しかし、本当に健康な人はどれほどいるのか?
たとえば、(米国で1億人にのぼる)糖尿病患者には、もっとビタミンCが必要である。アスピリン使用者(最大500万人)、特定の薬剤(ステロイド、性ホルモン)の使用者、喫煙者(3,800万人)、アルコール依存者(1,600万人)は、ビタミンCの消耗を受ける。利尿薬もビタミンCの消耗を生じる(使用者は最大2,000万人)。成長期の子どもには、もっと多くのビタミンCが必要であり、入院患者や介護施設の患者にも、もっと必要である。米国人口3億2,500万人のうち、食事から十分なビタミンCを摂っていそうになくサプリメントに頼らなければならない人の数は2億人以上にのぼる。

ビタミン反対論: ビタミン批判者によると、男女とも1日当たりの推奨摂取量(RDI)は45 mgであり、許容上限摂取量(UL)はない。公共の保健機関では、健康維持のため60~200 mgのビタミンC補給を推奨している。

反証: 完全に安全な上限量である2,000 mgで、これは誤って毒性上限とみなされることが多い。ビタミンC錠剤のメーカーのほうが良くわかっているようで、現在市販されている最低用量のビタミンC錠剤のビタミンC含有量は500 mgである。ビタミンCは水溶性であるため、排出されやすい。しかし、ストレスや疾患があるときなど、ビタミンC値が激減したときは、1日最大20,000 mgまたはそれ以上の量を何回かに分けて摂っても胃腸の不調は起こらない。よって、体を早く回復させるためには、そうする必要があるかもしれない。

チアミン(ビタミンB1)

ビタミン反対論: ビタミン批判者によると、日常的なビタミンB1補給の効能・効果はない。

反証: Derrick Lonsdale MDによると、高炭水化物食、砂糖を多く含む食品は、ビタミンB1の吸収を阻害する。彼はこの問題を「高カロリー栄養障害」と呼んでいる。アルコール、コーヒー、茶も、ビタミンB1の吸収を阻害する。ビタミン批判者は、高用量摂取による副作用を警告しているが、体内への吸収はコントロールされており、過剰なビタミンB1の吸収はおきない。

要約: 米国農務省は、必須栄養素の摂取不足である米国人の人口比率を公表している。それはここに転載する価値がある[10]。

米国農務省 栄養素の適量摂取に関するデータ
出典: 米国農務省

栄養素

(*下記注を参照)

米国人口における
適量摂取者の比率(%)
米国人口における
摂取不足者の比率(%)
(*米国人口を3億1,400万とした場合の人数)
ビタミンA ?46.0% 54.0% (1億6,900万人)
ビタミンC* 58.0% 42.0% (1億3,100万人)
ビタミンE 13.6% 86.4% (2億7,100万人)
ビタミンB1* (チアミン) 81.6% 18.4% (5,700万人)
ビタミンB2 (リボフラビン) 89.1% 10.9% (3,400万人)
ビタミンB3 (ナイアシン) 87.2% 12.8% (4,000万人)
ビタミンB6 (ピリドキシン) 73.9% 26.1% (8,200万人)
ビタミンB9 (葉酸) 59.7% 40.3% (1億2,600万人)
ビタミンB12* (コバラミン) 79.7% 20.3% (6,300万人)
マグネシウム 43.0% 57.0% (1億7,900万人)
鉄* 89.5% 10.5% (3,300万人)
セレン 91.5% 8.5% (2,600万人)
亜鉛* 70.8% 29.2% (9,100万人)
銅* ?84.2% 15.8% (5,000万人)
カルシウム* 30.9% 69.1% (2億1,700万人)
カリウム 7.6% 92.4% (2億9,000万人)
「平均所要量」にもとづく。栄養素の摂取量については、1999-2000年、2001-2002年および2003-2004年のWWEIA(米国食事摂取量調査)/NHANES(米国健康栄養調査)による第1日摂取量の回答があった2歳以上の者に関するものである。

 

注:

ビタミンC: 水溶性のビタミンですぐに排出されることから、サプリメント使用者を除き、十分なビタミンC値を維持している人はほとんどいない。最適な血中濃度を保つためには、1日中、何度も摂る必要がある(500 mg を1日5回)。

ビタミンB1(チアミン): 摂取量のみを示す。精白糖、アルコール、コーヒー、茶、薬剤によって吸収が阻害される。欠乏している人の数はこれよりはるかに多い。

ビタミンB12(コバラミン): たとえ血中値が十分であっても、補給すれば、疲労や神経炎(うずき、しびれ)の症状が解消されることが多い。これは、普通に生じる血中濃度(基準範囲)では十分でなく、(1日当たりの推奨摂取量を超える)治療用量が必要であることを示している。

: 貧血症の人の大部分は月経中の若い女性であり、慢性的炎症、感染症、悪性腫瘍の人も一部いる。

亜鉛: 種々の薬剤(利尿薬、エストロゲン、β遮断薬、ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬)によって亜鉛は消耗する。このミネラルは、胃酸不足により吸収が悪くなることが多い(米国人の52%が患っているピロリ菌感染症は胃酸の分泌を阻害する)。欠乏している人の数は上記の推定数より多い。

まとめ

くの人はビタミンとミネラルが欠乏している。ここで取り上げたビタミン類、つまり、ビタミンA、B1、C、Dは一般に欠乏が見られ、欠乏している人の数は、米国農務省の貧弱な基準による場合でも、米国人口の50%(膨大な人数)にのぼる。最適な健康状態を保つためには、食事で生野菜とナッツ類を摂り、獣肉や魚の量は控えめにし、緑の葉野菜はたくさん摂り、様々な有色野菜と果物も摂り、それに加えて、十分な量のビタミンB群(ビタミンB1~B6、B12、葉酸、ビオチン)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEを含むサプリメントを摂るべきである。

参考文献

1. Kennedy M. (2018) The vitamin epidemic: what is the evidence for harm or value?(ビタミン・エピデミック(大流行):有害性または有益性を示す証拠は?) Intern Med J 48:901-907.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/imj.13976

2. Alpha-Tocopherol, Beta Carotene Cancer Prevention Study Group. (1994) The effect of vitamin E and beta carotene on the incidence of lung cancer and other cancers in male smokers.(男性喫煙者グループにおいてビタミンEとβ-カロテンが肺ガンその他のガンの発生率に及ぼす影響) N Engl J Med. 1994 Apr 14;330(15):1029-35. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8127329

3. Cheng TY, Neuhouser ML. (2012) Serum 25-hydroxyvitamin D, vitamin A, and lung cancer mortality in the US population: a potential nutrient-nutrient interaction.(米国の母集団における血清中の25-ヒドロキシビタミンD値、ビタミンA値と、肺ガン死亡率との関係:栄養素間の潜在的相互作用) Cancer Causes Control. 2012, 23:1557-1565. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22829430

4. Vitamin A (2013). Vitamin and Mineral Safety 3rd Edition (2013) Council for Responsible Nutrition (CRN) (米国栄養評議会(CRN) 「ビタミンとミネラルの安全性」第3版(2013) 「ビタミンA」(2013))
www.crnusa.orghttps://www.crnusa.org/sites/default/files/files/resources/05-CRNVMS3-VITAMINA.pdf

5. http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-5985661/Average-child-spends-just-7-hours-WEEK-outside-twice-playing-video-games.html

6. Looker AC, Johnson CL, Lacher DA, et al., (2011) Vitamin D Status: United States, 2001-2006. NCHS Data Brief U.S. Dept of HHS, CDC, National Center for Health Statistics No. 59 March 2011.(米国保健福祉省 疾病管理予防センター 国立衛生統計センター(NCHS)編 NCHSデータ概要 2011年3月 第59号 「ビタミンDの状態:米国、2001-2006」) https://www.cdc.gov/nchs/data/databriefs/db59.pdf

7. Montel-Hagen, A, Sitbon M, Taylor N. (2009) Erythroid Glucose Transporters.(赤血球のグルコース輸送体) Curr Opin Hematol 16:165-172. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19346941

8. Stone I. (1966) Hypoascorbemia, the genetic disease causing the human requirement for exogenous ascorbic acid.(低アスコルビン酸症:ヒトが外生的アスコルビン酸を摂る必要を生じる遺伝的疾患) Perspect Biol Med. 1966. 10:133-134. https://muse.jhu.edu/article/406386/pdf

9. Berger MM. (2009) Vitamin C Requirements in Parenteral Nutrition.(非経口栄養法におけるビタミンCの所要量) Gastroenterology 137:S70-S78. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19874953

10. https://www.ars.usda.gov/northeast-area/beltsville-md-bhnrc/beltsville-human-nutrition-research-center/docs/california