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オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(国際オーソモレキュラー医学会会長)
溝口 徹(みぞぐちクリニック)
姫野 友美(ひめのともみクリニック)
北原 健(日本オーソモレキュラー医学会理事)
翻訳協力Wismettacフーズ株式会社ナチュメディカ事業G

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

ビタミン剤で死んだ人はどこにいるのか?

米国最大のデータベースで裏付けられているビタミンサプリメントの安全性

執筆者: Andrew W. Saul編集員

(OMNS、2013年1月30日)  米国中毒管理センター協会の新しい年報によると、マルチビタミン剤による死亡数はゼロであり、ビタミンA、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンD、ビタミンEのサプリメントによる死亡数もゼロである。

全米中毒データシステムによって収集された最新情報では、米国中毒管理センター協会の解釈によると、2011年度にビタミンサプリメントが原因で2人が死亡したと申し立てられている。1人はビタミンCのサプリメントが原因で死亡したと申し立てられており、もう1人は「他のビタミンB群」のサプリメントが原因と推定されている。同協会によるこの報告では、ナイアシン(ビタミンB3)による死亡も、ピリドキシン(ビタミンB6)による死亡も無いことが明示されているため、残っているビタミンB群として、葉酸、チアミン(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ビオチン、ビタミンB12が関与している可能性があることになる。しかし、こうしたビタミンの安全記録はきわめて良好なものであり、上記のいずれについても、これまで死亡者は確認されていない。ビタミンCも、きわめて安全な栄養素である。ビタミンCの補給による死亡は、今まで確認されていない。

たとえ同協会のデータが正しいと認めたとしても(我々は認めないが)、全国でビタミン剤関連の死亡が1年で2件であったというのは、数としては非常に小さい。米国人口の半数を優に超える人々が、栄養サプリメントを毎日摂っている。たとえこうした人々がそれぞれ、単一の錠剤を1日1錠だけ摂っていたとしても、個人量で1日当たり165,000,000回分となり、年間では合計600億回分を超える。多くの人は、単一のビタミン錠を1錠だけ摂るよりも、もっと多くの種類と量を摂っているため、実際の摂取量はこれよりかなり高く、栄養サプリメントの安全性も一層優れたものとなっている。

Abram Hoffer, MD, PhDの言葉を引用すると、「ビタミン剤で死ぬ人はいない」。オーソモレキュラーメディシン・ニュースサービスでは、ビタミン剤が死をもたらすことを確定的に実証している具体的な科学的証拠の提出を受け付けている。関連があるということは原因であるということではなく、申し立てられているというのは証拠があるということではない。もしそうした証拠があったなら、マスコミが第1面に大きく書き立てていたであろう。
ビタミンサプリメントがそんなに「危険」であるとされるのなら、それで死んだ人はどこにいるのか?

 

参考文献

Bronstein AC, Spyker DA, Cantilena LR et al. 2011 Annual Report of the American Association of Poison Control Centers’ National Poison Data System (NPDS): 29th Annual Report.(米国中毒管理センター協会の全米中毒データシステム(NPDS):年報第29号) Clinical Toxicology (2012), 50(10), 911-1164. 上記にて論じられているデータは、1134ページの表22Bに掲載されている。https://aapcc.s3.amazonaws.com/pdfs/annual_reports/2011_NPDS_Annual_Report.pdf

日本語訳監修:溝口 徹 (新宿溝口クリニック)