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オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(国際オーソモレキュラー医学会会長)
溝口 徹(みぞぐちクリニック)
姫野 友美(ひめのともみクリニック)
北原 健(日本オーソモレキュラー医学会理事)
翻訳協力Wismettacフーズ株式会社ナチュメディカ事業G

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

サプリメントによる死者はいない。ミネラル剤でも、アミノ酸製品でも、ハーブ製品でも、死んだ人はいない。

執筆者: Andrew W. Saul編集員

(OMNS、2016年1月12日) ビタミン剤で死ぬ人はいないが、そればかりでなく、「どんな」サプリメントでも、それで死ぬ人はゼロである。全米中毒データシステムによって収集され、Clinical Toxicology誌(1)で発表された最新(2014年)の情報を見ると、サプリメント全般による「いかなる死者もいなかった」ことがわかる。

ミネラル剤による死者はいない

ミネラルのサプリメントによる死者は、その種類を問わずゼロであった。つまり、カルシウムや、マグネシウム、クロム、亜鉛、コロイダル・シルバー(銀コロイド溶液)、セレン、鉄のサプリメントによる死者も、マルチミネラル・サプリメントによる死者もいなかった。「電解質およびミネラル」というカテゴリーでは、医療で使用された「ナトリウムおよびナトリウム塩」による死亡者が1名報告されていた。その他に、サプリメント以外の鉄による死亡者が1名報告されていたが、これは明らかに、サプリメントのカテゴリーから特定除外されていた。

他のいかなる栄養サプリメントによる死者もいない

さらに、アミノ酸製品による死者も、単一成分のハーブ製品による死者もゼロであった。つまり、ブルーコホシュや、エキナセア、イチョウ葉、ジンセン(薬用ニンジン)、カバカバ、セントジョーンズウォート、バレリアン(カノコソウ)、ヨヒンベによる死者も、アジアやアーユルヴェーダ(インドの伝統医学)の薬草による死者も、他のいかなるボタニカル(植物薬)による死者も、皆無であった。クレアチンや、ブルーグリーンアルジー(藍藻)、グルコサミン、コンドロイチン、メラトニンによる死者もゼロ、ホメオパシーのレメディーによる死者もゼロであった。

それでも疑わしきはサプリメントのせいにする。どんなサプリメントでも。

「麻黄(マオウ)も橙皮(トウヒ)も入っていないマルチ・ボタニカル剤」に起因するとした死亡例が1件あった。興味深いのは、何が「入っていなかった」のか分かっていたのに、何が「入っていた」のか知らなかったことである。 これは、せいぜい伝え聞きによるものだが、最悪の場合、恐怖心を煽る。何らかの「未確認のサプリメントまたはホメオパシー剤」によると申し立てられた死亡例が1件あったが、これについても、それに何が含まれていた可能性があるか、また、何が含まれていなかった可能性があるか、確実な情報が完全に欠如している。また、「エナジー製品:未確認」に起因するとした死亡例も1件あったが、そもそも、エナジードリンクもエナジー「製品」も、栄養サプリメントではない。しかし、もっと重要なのは、どうやったら未確認の情報にもとづいて非難することができるのか、ということである。「エナジー製品:その他」に起因するとした死亡例が2件あったことも、同じくらい非科学的である。果たして、それはどんな製品だったのか。これらは、確証のない漠然とした申し立てにすぎない。どの物質や成分を非難すべきかさえわからないのに因果関係があるとするのは、根拠のない主張である。

真実として、男性も女性も子どもも、栄養サプリメントで死んだ者はいない。以上。

FDAやマスコミ、そして一部の医師でさえ、まだ主張しているように、栄養サプリメントがそれほど「危険」であるとされるのなら、それで死んだ人はどこにいるのか?

 

参考文献

Mowry JB, Spyker DA, Brooks DE et al. (2015) 2014 Annual Report of the American Association of Poison Control Centers’ National Poison Data System (NPDS): 32nd Annual Report (米国中毒管理センター協会の全米中毒データシステム(NPDS):年報第32号), Clinical Toxicology, 53:10, 962-1147,?http://dx.doi.org/10.3109/15563650.2015.1102927?.
上記論文は非常に長いが、その全文を下記サイトから無料でダウンロードすることもできる:
https://aapcc.s3.amazonaws.com/pdfs/annual_reports/2014_AAPCC_NPDS_Annual_Report.pdf
または http://www.aapcc.org/annual-reports/?.