そもそも消化器内科医である私がなぜ産科領域を語るのか。
本気の少子化抑止へ!「鉄」をめぐる光と影
我が国で現在議論されている少子化対策は、家庭の育児支援を目的とした経済的・社会的議論が中心ですが、それ以前に子を授かりたくても授かれないカップルの問題解決がより急務です。不妊治療の保険適応は一見福音ですが、栄養不足で準備の整わない女性への生殖補助医療は成績が振るわないばかりか、無視できない問題点も含まれるのです。
本気の少子化抑止へ!「鉄」をめぐる光と影
一つは、戦後の日本医学界が軽視してきた「栄養医学」の知識を最も必要としているのが産科であり、そこに少子化問題を解消する重要なカギが眠ると考えるからです。
そしてもう一つは、私自身子供時代からなぜか「生物の繁殖」に強い関心があったからかもしれません。
セミやカエルを捕まえては、なんとか繁殖させたいと願う子供でした。最も執念を燃やしたのはカブトムシ。オス・メスを何匹も飼い、カップル成立してもなぜ卵を産まないのか?その原因がエサの種類や飼育環境にあることに気付くまで随分と年数を費やしてしまいました。
この話をするとしばしば「人間とカブトムシ、一緒にしないで!」とお叱りを受けます。しかしそのご指摘には「人間の傲慢さ」みたいなものも感じられます。地球に住む動物の一種にすぎないのに、いつしか人間は己を特別な存在と考えはじめ、根底を支える食や栄養など軽んじつつあります。食いつきのよい甘い果物ばかり食べさせても産卵しないカブトムシと同じように、人間も偏った食文化では適切な「種の保存」さえ出来なくなるのです。
私が重視するテーマは「鉄」。鉄欠乏と少子化が世界的にも顕著な日本において、妊娠を希望する女性への鉄対策は、実践が追いつかぬプレコンセプションケアの概念に埋没させることなく、むしろ生殖補助医療の一環として医師が積極的に行い、さらに加えて妊娠中の鉄欠乏対策も徹底すべきではないか、と強く提言します。
詳細はシンポジウム当日にて。
※袴田拓先生の講演は、9/16(月/祝)9:00より開始予定となっております。
※「国際栄養医学シンポジウム2024」に参加ご希望の方は、こちらhttps://isom-japan.org/seminar/general_meeting_lp?page=2024よりお申し込みください。
※講師の都合により内容に変更が生じる場合がありますこと予めご了承ください。
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