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オーソモレキュラー医学ニュースサービスー日本語版

国際版編集主幹Andrew W. Saul, Ph.D. (USA)
日本語版監修柳澤 厚生(国際オーソモレキュラー医学会会長)
溝口 徹(みぞぐちクリニック)
姫野 友美(ひめのともみクリニック)
北原 健(日本オーソモレキュラー医学会理事)
翻訳協力Wismettacフーズ株式会社ナチュメディカ事業G

* 国際オーソモレキュラー医学会ニュース<日本語版>は自由に引用・配信ができます。引用の際は必ず引用元「国際オーソモレキュラー医学会ニュース」とURL(https://isom-japan.org/)を記載してください。

栄養医学への攻撃 ? 批判は歓迎

目次
    執筆:オーソモレキュラー医学ニュース編集長 Andrew W. Saul

    ビタミンCを勧めるLinus Pauling博士を批判する医師らに対し、Pauling博士は書籍「Vitamin C and the Common Cold (ビタミンCと風邪)」(1)を執筆した。この本は栄養分野の書籍として空前のベストセラーとなり、ファイ・ベータ・カッパ科学図書賞を受賞した。その後、Pauling博士らがビタミンCに抗癌作用があることを明らかにしたところ、再び批判の矢面に立たされた。Pauling博士は製薬会社がスポンサーとなっているジャーナルに、批判に対する反対論文を発表するのを医学会に妨げられると、Paulingはさらに書籍を執筆した(2,3)。Gerson は自身の栄養療法が攻撃の対象になると、娘であるCharlotteは父の栄養療法(ゲルソン療法)に関する本を執筆した(4)。彼女は3月24日で90歳になる。栄養医学を黙らせようとすればするほど、かえって素晴らしい情報が湧き出てくるものである。

    ナイアシンがさまざまな精神疾患を治癒させることを明らかにしたAbram Hofferの比較対照試験の論文を精神医学の専門誌が掲載を拒絶した。そこでHofferは自ら「Journal of Orthomolecular Medicine(オーソモレキュラー医学ジャーナル)」を創刊した(5)。また、科学専門誌が水道水へのフッ素添加に疑問を呈する研究論文の掲載を拒絶すると、「Fluoride(フッ素)」誌が創刊され、研究内容が公表された(6)。いつの日か、米国国立医学図書館(NLM)やMedlineで、そうして創刊されたジャーナルを見かけるようになるかもしれない。ただし、過剰な期待はしないように。NLMは公的資金が投入されている「世界最大の医学図書館」であり、好ましくないジャーナルへのアクセスは検閲されている(7)。米国のみならず世界中の人が、公立の図書館がそのような検閲をするのはけしからんと思っている。同感だと思った人は、NLMのMedline 代表者に手紙を書くなり、電話で訴えるとわかる(8)。内輪だけの会合で意思決定する委員会のメンバーに、いくら手紙を書いても無視されるだけである(9)。

    栄養医学を否定する医薬ニュースがメディアに登場するたびに、オーソモレキュラー医学ニュースサービス(OMNS)では、それに正当に対抗するプレスリリースを1~2件発表している。OMNSの記事はインターネットでどこからでも無料かつ広告なしで閲覧可能であり、これまでに発表してきたプレスリリースは120件を数える。?参照? 読者諸氏の変わらぬ関心と支援に感謝の意を表する。

    メディアのほとんどが私たちのニュース配信を黙殺している。これは驚くことではない。メディア側は、インターネットでセカンドオピニオンを検索する人がいるとは思っていない。一般人は主要な新聞・雑誌が掲載しているものだけを読み、それを信じているとでも思っているのだろう。テレビ局はYouTube をはじめ、オーソモレキュラー医学に関する動画に無料でアクセスできるサイトの存在を無視している(10)。

    Wikipediaについては、みなさんが素人集団が自らの信念に関係なく記事にしていることを読みたければ、どうぞご自由にと言いたい。筆者はニューヨーク州立大学で9年間教壇に立ったが、Wikipediaをほんの少しでも参考にしたという教職員にお目にかかったことがない。読者諸氏も含め、みなさんわきまえていらっしゃるようだ。OMNSが大学関係者、研究者、医師に情報および解説を直接お届けしているのはこのためである。もう何年も前、父は私に、知りたいことがあれば「芸をしているサルではなく(芸をさせている)手回しオルガン弾きに聞け」と教えてくれた。

    これを読まれたら、医学の独占支配がパナマ運河の氷山のごとく溶けていくことは必至である。栄養医学が世界中に広まりつつある。Max Gerson医師による症例報告および研究論文は目下、ドイツ語から英語に初めて翻訳されているところである。いずれも今年のうちにネット上に無料で閲覧できるようになる。癌関連団体はもはや、「Gersonの療法が有効なら実証するエビデンスがあるはずだ」と自ら主張した言葉から逃れることはできなくなる。たしかに、この言葉どおりである。主治医がこのことを知らないようであれば、サイトを読むように教えてあげてほしい。

    われわれは医療産業を刺激することは楽しみであり、ご批判も大歓迎である。反論があればありがたい。そのまま前進あるのみで、国際オーソモレキュラーニュースからまたひとつ、プレスリリースを出して栄養療法が安全かつ有効であることを示すことになる。反応がなければ、反応があるまで挑発を続けることになろう。例えば、下記の項目を説明してもらいたい。

    ?ハーバードのある試験では、ビタミンのサプリメントを服用したエイズ患者の死亡率が27%減少したことが明らかにされている(11)。
    ?ビタミンによる死亡は1例もない。そう、0%である(12)。
    ?アスピリンを1日2錠服用する女性は、膵癌のリスクが86%も高い(13)。
    ?ミリグラム単位で必要なビタミンをミリグラム単位で補給するのは、食物から摂取しようとするよりも安価である(14)。

    大手製薬会社が抱える頭痛の種がまたひとつ加わる。2月1日から、点滴療法研究会、日本オーソモレキュラー医学会をはじめとする漸進的な医学団体のご厚意により、この「Orthomolecular Medicine News Service(オーソモレキュラー医学ニュースサービス)」が日本語で読むことができるのである。

    ここで歩みを止めることはしない。これを読んでおられる方のなかに、マルチリンガルの方で、オーソモレキュラー医学ニュースサービスのプレスリリースをほかの言語にボランティアで翻訳をお願いできる方には、是非ご連絡いただきたい。ビタミンおよび栄養療法は薬物療法よりも安全かつ効果的である。このメッセージを周囲の人たち、あらゆる場所に、あらゆる言語で届けよう。

     

    参考文献:

    1. Pauling L. (1970) ビタミンCと風邪とインフルエンザ San Francisco: W. H. Freeman. 改訂版、1976.
    2. Cameron E, Pauling L. (1979) 癌とビタミンC Linus Pauling Institute of Science and Medicine, Menlo Park, CA. Warner Books, New York 1981; 改訂版、1993, Philadelphia: Camino Books.
    3. Pauling L. (1986) 健康で長生きする秘訣 New York: W. H. Freeman. 改訂更新版、2006, Corvallis, Oregon State University Press(オレゴン州立大学出版) 次のアドレスにてレビュー可能?http://www.doctoryourself.com/livelonger.html
    4. Gerson C. (2011) 関節炎を克服する、骨関節疾患 Carmel, CA: Gerson Health Media. このほか(2010) 肥満を克服する、糖尿病と高血圧:代謝症候群 Carmel, CA: Gerson Health Media. および (2007) Gerson法に決着をつける:癌をはじめとする慢性疾患を克服する 完全版、レビュー元?http://orthomolecular.org/library/jom/2007/pdf/2007-v22n04-p217.pdf?このほか(2001) Gerson C, Walker, M. Gerson療法。N:Y: Kensington Publishing.
    5. 次のアーカイプにて無料閲覧可?http://orthomolecular.org/library/jom/
    6. 次のアーカイプにて無料閲覧可?http://www.fluoride-journal.com/?またはhttp://www.fluorideresearch.org/
    7.?http://orthomolecular.org/resources/omns/v06n03.shtml?および?http://orthomolecular.org/resources/omns/v06n07.shtml
    8. Sheldon Kotzin, Executive Editor, MEDLINE, メリーランド州ベセスダの国立図書館?kotzins@mail.nlm.nih.gov?この電子メールアドレスは2012年1月19日現在有効。
    9.?http://www.doctoryourself.com/medline.html??ページのなかほどまでスクロールする。
    10. 医師向け静注ビタミンC指導ビデオ?http://orthomolecular.org/resources/omns/v07n03.shtml
    11. Fawzi WW, Msamanga GI, Spiegelman D, Wei R, Kapiga S, Villamor E, Mwakagile D, Mugusi F, Hertzmark E, Essex M, Hunter DJ. マルチビタミンサプリメントとHIV疾患の進行と死亡率に関する無作為化試験 N Engl J Med. 2004 Jul 1;351(1):23-32. 無料のフルテキストのアドレス?http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa040541
    12. 過去1年間:?http://orthomolecular.org/resources/omns/v07n16.shtml過去27年間:?http://orthomolecular.org/resources/omns/v07n05.shtml
    13.?http://orthomolecular.org/resources/omns/v07n12.shtml
    14. 大振りのオレンジ1個なら少なくとも50セントはするものであり、簡単に1ドルかかってしまうこともある。そのオレンジに含まれるビタミンCは100 ミリグラム(mg)に満たない。1錠あたり500 mgのアスコルビン酸タブレットが100錠入ったボトルは、約5ドルである。1ドル当たり10,000 mgの計算になる。ビタミンCの場合、50~100分の1の値段で、オレンジ1個分のビタミンCが1~2セントになる。

    日本語訳監修:北原 健(日本オーソモレキュラー医学会)