麻は、5世紀の中医学の書に「まふん(麻蕡)として五臓(肝・心・脾・腎・肺)を調節し、寒気を取る薬剤」と記載されています。今日においても、麻子(まし)という生薬成分を配合した漢方薬が便秘薬として使用されています。
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CBDオイル(カンナビノイドオイル)とは
カンナビノイド(CBD)は、一年草の麻に含まれる成分であり、104種類の生理活性物質の総称です。最近の研究により、人の体内には「内因性カンナビノイド・システム」という身体の体調を調節する機能が存在することがわかってきました。つまり、人体内にもカンナビノイドがあり、これが足りなくなったりすると病気や体調不良の原因になり、ガン、認知症、2型糖尿病、心臓病、自己免疫疾患、統合失調症、自閉症スペクトラムなどの疾患に影響する可能性があると言われています。
例えば、同じような内因性物質にはビタミンやホルモンなどがありますが、これらが減少し病気になった場合、合成した薬として補うことで治療に用いられています。これと同じようなシステムが内因性カンナビノイド・システムです。
麻の歴史
一方で、麻の負の歴史といえば大麻です。麻は花と葉に精神作用がある成分(THC)が含まれ、これを麻薬取締法で大麻として規制しているため、麻に悪いイメージを持っている方が多いのも事実です。
医療としての麻
すでに欧米では多発性硬化症とてんかんの治療にカンナビノイドを使用した薬が利用されていて、日本でも臨床試験の開始が待たれています。
植物エキスとしての麻
麻の種子と茎には麻薬成分(THC)は含まれておらず、生理活性物質であるカンナビノイドが104種類含まれます。その作用については下記の通りです。
- 体内にある複数の臓器に作用する→内因性カンナビノイド・システムの働きをサポートする
- 活性成分の皮膚吸収を改善する→麻に含まれるテルペノイドがカンナビノイドの皮膚への吸収を高める
- 細菌の防御機能に打ち勝つ→抗菌剤が効かない耐性菌の出現を予防する
内因性カンナビノイド・システム
1988年、セントルイス大学(アメリカ)のアリン・ハウレット博士らはカンナビノイドがどこに作用するのか調べました。これが後にカンナビノイド受容体(CB1)と判明し、1993年にはケンブリッジ大学(イギリス)のショーン・マンロー博士らがCB1に類似したCB2を発見しています。
カンナビノイド受容体の分布
CB1受容体は主に脳、脊髄、中枢神経系の神経細胞とりわけ小脳、大脳基底核および海馬に非常に豊富であり、記憶処理、運動調節、疼痛感覚、気分および睡眠に役割を果たすことがわかっています。また、CB1受容体は脳以外にも精巣、輸精管、子宮、肺、小腸、血管平滑筋細胞など様々な臓器と細胞に存在します。
CB2受容体は主に免疫系の細胞とその関連構造にみられ、活性化されると炎症と闘う反応を刺激、さらに痛みを軽減し、組織への損傷を最小限に抑えることができます。下記図にカンナビノイド受容体の分布を示します。
<図> CB1とCB2の分布
CBDオイルが効果を発揮する病気や症状
カンナビノイドは内因性カンナビノイド・システムの受容体と結合することにより、私たちの感覚や考え方を調和および調整するために役立ちます。
この作用を用いて、海外では下記疾患のように比較的よく知られている疾患から原因不明の希少疾患まで、多くの病気に対するカンナビノイドオイルの利用が試みられています。
- ガン
- 不眠症
- 様々な疼痛
- 嘔吐
- 関節炎
- てんかん
- 糖尿病
- 虚血性心疾患
- 認知症
- 自閉症スペクトラム
- うつ病
- 不安障害
- 統合失調症
- 炎症性腸疾患
- 多発性硬化症をはじめとする自己免疫疾患 など
まとめ
カンナビノイドは生体が生きていく上で必要な物質であり、内因性カンナビノイド・システムを介してその恒常性を保つのに重要な役割を果たしています。カンナビノイドを摂取することで変調を来した内因性カンナビノイド・システムを正常に戻し、種々の疾病や体調不良が改善する可能性があります。
カンナビノイドオイルの摂取によって、他の治療法では改善がみられない難治な病状を改善できる可能性があるのです。
<注意点>
日本では麻薬成分THCが含まれるCBDオイルは法律で認められていません。
海外から個人輸入をしても通関できないケースがありますので、国内の信頼できるメーカーを選んで下さい。
<参考文献>
・『カンナビノイドの科学:大麻の医療・福祉・産業への利用(日本語)』(監修:佐藤 均,編集:日本カンナビノイド学会,築地書館,2015年)
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