ログイン 会員登録
おすすめ!

運動不足は“第二の喫煙”!がん患者さんにこそ運動が必要という真実

この記事の執筆者

BFLクリニック

ビタミンC点滴療法や栄養療法のメッカとも言えるリオルダンクリニック(アメリカ)へ研修のため留学。留学中、米国抗加齢医学会の専門医試験に最年少で合格。また米国で開催される国際学会に多数出席し、世界の機能 ... [続きを見る]

あなたは定期的に運動をしていますか?それとも運動不足と感じていますか?

そう、今回のキーワードはずばり「運動」です。運動に秘められた健康への効果についてご紹介いたします。運動というと、どうしても無精になってしまう方も少なくないかと思います。

かくいう私も、以前は運動が大嫌いでした。当時の私のように「運動といってもなかなか一歩を踏み出せない」と思っておられる方のハードルも下げてくれるツールも文中でご紹介しています。

運動が体に良いことは、もはや世の常識と言っても過言ではありません。しかし、おそらく今回の内容は多くの方の想像をはるかに超える健康・延命効果だと思うので、その効果に驚いていただきつつ楽しんで読んでいただければ幸いです。

また、最後には記事『睡眠とがん対策の心強い味方「メラトニン」』で取り上げたメラトニンについて、具体的な服用方法や増量の仕方などのご質問があったので回答しています。是非参考にしていただき、睡眠の質の改善に役立てていただければと思います。

座りがちな生活は第二の喫煙

まず一般的な話として、活動的な生活や運動をすると私たちの健康にどのようにプラスとなり、逆に運動しないで座りがちな生活はどのように健康を害すのでしょうか。

第一に、運動をすることで気持ちが晴れます。すると積極的かつ活動的な気分になり、自尊心も高まります。これは単なる“気のせい”ではなく、実際に科学的にも証明されているのをご存知でしたか?

その理由としては、運動は様々な神経伝達物質の分泌に測定可能なほど影響を与えることが挙げられます。同じ理由で認知機能の低下やアルツハイマー病はもちろん、うつも予防するなどメンタルヘルスにも効果が期待されています。

また、運動をするとエネルギー消費が上がることと「お腹がいっぱい」と感じるホルモンの分泌が促進されるため、自然に食欲が落ち(正常化し)、万病の元である肥満や2型糖尿病の発症率を下げます。

そのため、心血管系疾患は特に運動との関連が強く、週に3時間以上運動すると女性の場合は心臓発作や脳卒中のリスクを50%、男性であれば脳卒中のリスクを2/3に、心臓発作に関して言えばなんと1/3にまでリスクを減らしてくれることがわかっています。

その他にも免疫機能を高めて感染症のリスクを減らしたり、サルコペニア(加齢などの原因で筋肉量が減少していく状態)を予防したりすることができます。

運動の効果がはっきりあらわれた研究

2014年、スウェーデンで素晴らしい研究結果が発表されました。この研究では参加者に片方の脚のみ3ヶ月間運動を行ってもらった後、運動した脚の遺伝子発現を調べました。

その結果、運動した脚のみ炎症やインスリン反応、そして代謝に影響を与える5000を超える遺伝子が良い変化をしていたことを発見しました。さらに、その遺伝子の変化は運動をしていない期間も続いたというのです。

以上のように運動不足で座りがちな生活が“第二の喫煙”と言われるほど、遺伝子から健康を害することをご理解いただいたところで「運動が及ぼすがん患者さんへの驚きの効果」についてご紹介したいと思います。

がん患者さんにこそ運動してほしい理由

膨大な量の研究(コホート研究やメタ研究)から、運動は以下のがんの発症リスクを減らすことが示されています。

  • 結腸がん
  • 乳がん
  • 子宮内膜がん
  • 肝臓がん
  • 腎臓がん
  • 食道がん
  • 膀胱がん

また、結腸がんに至っては、アメリカで年間4万3000件が運動不足によって生じている、つまりは「防げるはずのがんだった」と米国ガン研究所が発表しています。そして多くのがんにおいて、運動は発症リスクだけでなく死亡率および再発率も劇的に低下させます。

2016年のメタアナリシスでは、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がんの患者さんが運動した場合、死亡率が1/3以上減少し、再発率の低下も認められました(図1)。劇的な効果で驚いてしまう方も多いと思いますが、このような報告は本当にたくさんあります。

<図1>


800人以上の前立腺がん患者を17年間追跡調査した論文では、活動的な男性は死亡率が最大で40%減少したと発表されていますし、転移性大腸がん患者では、15年で死亡率が40%以上減少したと示されています。適度な運動で乳がんの再発リスクがなんと50%減少したと報告している論文もあります。

とても興味深いのは、化学療法や放射線治療中に運動することで標準治療の抗腫瘍効果が高まることや、化学療法や放射線治療による副作用(眼精疲労や疼痛、睡眠や食欲の悪化、うつや不安感)が減るという報告はありますが、運動したがん患者さんに有害反応があったという研究はない、ということです。

つまり、がんになってしまったからこそ、普通の人より体力がないからこそ、運動が必要なのです。アメリカ癌学会は、1週間に2.5時間(1日22分)の運動を推奨していますが、その22分でさえ一度に連続で行う必要はありません。むしろ、こまめに短い運動をする方が健康にメリットがあると言われています。

さあ、そろそろ立ち上がって少し足踏みでもしてみませんか?

健康維持の頼れる助っ人?ウェアラブル端末を“良き相棒”に

以前、2020年代は「5Gの時代」だという動画がYoutubeでバズっていたようですが、あなたはこういったテクノロジーの恩恵をちゃんと受けていますか?

私はAppleが好きでApple Watchを愛用していますが、1時間椅子に座っていると「そろそろ立ち上がる時間です」とか「今週はこのままだと運動目標が達成できないですよ」と教えてくれます。高精度とは言えませんが、心電図も見れて面白いです。

私が研修でお世話になったハニハイキ先生(リオルダンクリニック)も睡眠をトラッキングするリングを使っておられ、睡眠の質が良かった日には「今日はこんなに睡眠の点数が高かった!」と、誇らしげに教えてくださったものです。

自分で目標を立てて管理するのがなかなか難しいという方は、是非テクノロジーの恩恵を受けながら少しでも楽に目標を達成されてみてはいかがでしょうか。もちろん、今日ではApple Watch以外にも様々なウェアラブル端末が発売されていますし(図2)、ご自身に合うものを選ぶ時間も楽しいですよ。

<図2>


「デジタル機器はちょっと・・・」と自信がない方でも直感的に使えるものが多いので、難しく考えずにとりあえず試してみるのが良いかもしれません。

私の祖母(80代)も当初は「スマートフォンなんて目も悪いし使えない」と言っていましたが、今ではアプリの無料通話を使って日本・アメリカ間でお喋りしたり、インスタグラムなどのSNSも楽しんだりしています。楽しく使って健康上のメリットまで享受できるなんて最高ですよね。

<補足>メラトニンの服用方法や量など

冒頭でも触れた通り、最後に『睡眠とがん対策の心強い味方「メラトニン」』に寄せられたご質問への回答をさせていただきます。是非、ご参考になさってください。

内服のタイミング

眠前に内服していただくとスムーズに眠りにつけるかと思いますが、メラトニンは半減期が非常に短いため(30分ほど)、内服しても数時間経過するとかなり減ってしまいます。ですので、寝るまでに時間がかかりそうな時は寝る直前での内服が良いかと思います。

なお、夜中お手洗いに起きた後なかなか寝付けず、朝になるまでまだ数時間ある場合には、そのタイミングで2回目の内服をされる方もいらっしゃいます。

年齢

リオルダンクリニックを受診される方は50代以上の方がほとんどでしたので、何かしら睡眠に関する問題を持っておられることが多く、内服が勧められることが多いですが、小児の患者さんやハニハイキ先生のお孫さんなども内服されていました。

メラトニンには性ホルモンを抑制する作用があるため、ヨーロッパでは避妊目的で使われていたり、メラトニンの産生量が減ることによって思春期が始まったりするのですが、お子様に使用する量はごくごく少量ですし、ネガティブフィードバックもないので安全に使用できます。

がん患者さんの場合

注意したいのはリンパ腫など一部のガンでは使用しにくい、と耳にしたことがある点です。しかし、今回メラトニンについて執筆する上で改めて調べてみたところ、はっきりとした情報は見つからなかったため、基本的には安全なサプリメントと考えていただければと前回の記事では触れるのを控えさせていただきました。

推奨される服用量としては、特にがんの患者様では転移予防や抗がん効果を狙って積極的に高容量まで上げますが、日中に眠くならない量でゆっくり漸増していき、使用される患者様の反応を見ながら決めていきます。1日180mgなど高容量で内服する方のなかには、60mgのカプセルを眠前だけでなく1日3回、日中にも内服される方もおられます。

ちなみに私(30代)の場合、睡眠の質の改善やアンチエイジング、抗がん目的で現在20mgから40mgに増量したところ、まだ朝に少し眠い感じがあるため再び20mgに戻したり40mgに増やしたりと様子を見ながら服用しています。







※本記事は『統合医療でがんに克つVOL.136(2019年10月号)』にて掲載された「リオルダンクリニック通信5」を許可を得た上で一部調整したものです。