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【学会レポート】第52回国際オーソモレキュラー医学会がブラジルで開催

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学医学部内科助教授を経て、2000年〜2008年同大学保健学部救 ... [続きを見る]

2023年6月1〜3日、ブラジルのサンパウロ市にあるコンベンションセンターで第52回国際オーソモレキュラー医学会が開催されました。今回は開催報告を兼ねて、この時の様子をお伝えしたいと思います。


<TOP画像>開会の挨拶をする筆者

ブラジル各地から2,000人以上がサンパウロに集結

今回は、第34回ブラジルオーソモレキュラー医学会との共同開催となりました。ブラジルではオーソモレキュラー医学が広く浸透し、学会には2,000名以上が参加、出展企業ブースも80社以上でした(写真1)。

<写真1>学会の会場入口:参加者2,000名以上、出展企業80社以上と賑わいを見せる


学会1日目はインターナショナルセッションとしてポルトガル語と英語の同時通訳が入り、2日目・3日目はポルトガル語のみで行われました。

国際オーソモレキュラー医学会会長として私が開会の挨拶を、続いてブラジルオーソモレキュラー医学会のエフレイン・オルセーヴァー博士が開会を宣言し、学会の幕開けです。

インターナショナルセッションでは、オルセーヴァー博士が国際オーソモレキュラー医学会の歴史とブラジルオーソモレキュラー医学会の発展について基調講演をしました。

その後、高濃度ビタミンC点滴や栄養療法によるがん治療、小児自閉症や注意欠陥・多動性障害(ADHD)の栄養療法、疾病におけるミトコンドリアレベルの酸化と抗酸化の調整、統合医療におけるオーソモレキュラー医学の導入などがブラジル・アメリカ・カナダ・スペイン・アルジェリアから集結したスピーカーによる講演が行われました。

また、日本からは私が「オーソモレキュラー栄養療法によるコロナ後遺症とワクチン後遺症の治療」を演題としてお話しし、会場内は終始立ち見をする方が出るほどの盛況ぶりでした。

エフレイン・オルセーヴァー博士が2023年名誉の「殿堂入り」

「オーソモレキュラー医学の殿堂」は2004年、オーソモレキュラー医学のパイオニアやリーダーを称えるために設立されました。それから20年近く経った現在、これまでにオーソモレキュラー医学の基礎と成長に多大な貢献を果たした世界各国の81名の医師・研究者が殿堂入りしています。

日本人の受賞は金子 雅俊氏(2007年)を皮切りに、北原 健氏と筆者(2011年)、阿部 博幸氏(2013年)、水上 治氏(2017年)、溝口 徹氏(2018年)の計6名が選出されています。

2023年の名誉の殿堂入りには、ブラジルのエフレイン・オルセーヴァー博士が選ばれました。オルセーヴァー博士はボリビアで生まれ、ブラジルで育ちました。ボリビアのコチャバンバにあるサンシモン大学医学部を卒業したのち、サンパウロ大学の心臓研究所で内科と循環器科の大学院課程に入学しました。

1980年、外国人医学生教育委員会を通じて米国で医師資格を取得し、1982年にブラジルで認定されました。オルセーヴァー博士は内科を専門とし、大学院で循環器学を学び、以後40年にわたりオーソモレキュラー医学の専門家として活躍しています。

博士は1989年にサンパウロでブラジルオーソモレキュラー医学会を初めて開催しました。その時に集まった人数は、たったの15名でした。それが今やこの学会に2,000名を超える参加者が集まるほどに大きく成長したのです。

オルセーヴァー博士は健康や医学に関する数十の研究と94冊の本を執筆し、国際オーソモレキュラー医学会誌の編集者も務めています。国際オーソモレキュラー医学会は彼の模範的なリーダーシップと多大な貢献に対し、名誉の殿堂入りを贈ることを決めました。

<写真2>殿堂入りしたエフレイン・オルセーヴァー博士(ブラジルオーソモレキュラー医学会 会長)

アルジェリアのイリエス・バグリ氏が国際オーソモレキュラー医学会新学会長に就任

国際オーソモレキュラー医学会は1994年4月29日、カナダのバンクーバーで設立総会を開催しました。学会は世界各国にオーソモレキュラー医学を広めること、さらに各国のオーソモレキュラー医学会を統合することを目的に設立されました。当時、世界で12のオーソモレキュラー医学会があり、現在では26にまで学会数が増えています。

創立時の会長は、世界的に有名なカナダの研究者で精神科医のエイブラム・ホッファー博士でした。1997年にブラジルの医師であるオスリム・マリナ氏が第2代会長に就任、1999年にはオランダのガート・シュイットメーカー博士が第3代会長に就任、そして2012年に私が第4代会長に就任しました。

このように国際オーソモレキュラー医学会の歴代会長は北米・南米・ヨーロッパ・アジアと引き継がれてきました。そして本年、アフリカから初めて第5代会長としてアルジェリアの医師であるイリエス・バグリ博士が就任しました(写真3)。

<写真3>国際オーソモレキュラー医学会の新会長イルイエス・バグリ博士にバトンタッチする筆者


バグリ博士は2011年にアルジェリアオーソモレキュラー医学会を立ち上げ、会長に就任しました。学会はアルジェリア国内だけでなくモロッコ・チュニジア・フランスなどでも積極的にワークショップを主催しています。

バグリ博士は2015年から3年間、前会長をアルジェリアに招いてオーソモレキュラー医学の教育セミナーを開催しました。また、バグリ博士はアルジェリアの主要メディアや保健省と密接に連携し、アルジェリアの医療にオーソモレキュラー医学を積極的に導入する活動を行うなどの実績を上げています。また、2018年に東京で開催された第48回国際オーソモレキュラー医学会では名誉の殿堂入りをしています。

バグリ博士が新会長に就任したことにより、オーソモレキュラー医学のさらなる発展が期待されます。

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