イベルメクチンは2015年、大村 智先生(北里大学特別栄誉教授)がノーベル賞を受賞したことで有名な抗寄生虫薬です。世界中で40年以上に渡り多くの患者さんに投与されており、医学の歴史の中で「最も安全かつ低コストで広く利用できる薬の一つ」と言われています。
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新型コロナに対するイベルメクチン〜その効果とよくある質問への回答〜
8月に入り新型コロナウイルスの中でも感染力の強いデルタ株が日本でも猛威を振るっています。今後“頼みの綱”であるワクチンを多くの方が打ち、集団的なコンプライアンスが得られたとしても、このデルタ株の拡散は防ぐことができないと考えられています。
私は反ワクチン派ではありませんが、変異株に対するワクチンの効果については限定的であり有効な期間が180日であることに加えて中長期の安全性も十分に確認されていない現状です。(若者では短期のリスクベネフィットのバランスにも問題があります)
そして一番重大であり疑問に感じるのが、ワクチン以外(例えばビタミンDやイベルメクチンなど)の情報に対して悪意を持って偏った報道がされていることです。これらの点から、特に子どもや若者へのワクチン接種にはもっと慎重になるべきだと考えています。
今回は新型コロナに対するワクチンに変わる、もしくはそれ以上の効果が得られると考えられているイベルメクチンについてご紹介します。(今回の内容はFLCCCのサイトを元にまとめたものです)
イベルメクチンの効果
実験室での研究により非常に強力な抗ウイルス作用と抗炎症作用を持つことが証明されていることから、世界中の多くの国や病院で新型コロナに対して臨床試験が行われ、患者さんの一貫した大幅な改善が報告されています。
<図1>イベルメクチンの特性
研究室での研究結果
『Antiviral Research』に掲載された2020年6月の研究によると、イベルメクチンを1回投与することで細胞内の新型コロナのウイルス量が24時間で99.8%、48時間で99.98%減少しました。
臨床試験の結果からみたイベルメクチンの効果
新型コロナ治療に対するイベルメクチン投与を評価している臨床試験は約70件あります。これらのほとんどにおいて、高い安全性ならびに治療と予防の両方に効果があることが統計的に有意なエビデンスとして示されています。
また、新型コロナ患者にイベルメクチンを投与した場合としなかった場合を比べた試験では、以下のような素晴らしい結果が得られています。
- 呼吸困難に陥った患者の割合がイベルメクチンありのグループでは2.6%だったのに対し、イベルメクチンなしでは15.8%だった。
- 酸素吸入が必要となった割合は、イベルメクチンありで9.6%、イベルメクチンなしでは45.9%だった。
- 抗生物質の投与が必要となったのは、イベルメクチンありの患者で15.7%、イベルメクチンなしの患者では60.2%だった。
- 集中治療室に入るほど重症化した割合は、イベルメクチンありで0.1%、イベルメクチンなしでは8.3%だった。
- ウイルスが陰性化するまでの期間は、イベルメクチンありで4日、イベルメクチンなしでは15日だった。
- 入院期間は、イベルメクチンありで9日、イベルメクチンなしでは15日だった。
- 死亡率は、イベルメクチンありでは13.3%、イベルメクチンなしでは24.5%だった。
予防効果も期待できる?
さらにイベルメクチンは治療効果だけでなく、新型コロナへの感染予防効果もあることがわかっています。新型コロナ患者の家族にイベルメクチンを投与した試験では、新型コロナに感染したのは8%以下だった一方、イベルメクチンを投与しなかった場合は58.4%が感染したと報告されています。
イベルメクチンを巡る“きな臭い”動き
このように、多くの臨床試験によって新型コロナへの圧倒的な効果が報告されているにも関わらず、世界保健機関(WHO)は今春「イベルメクチンを新型コロナ治療に用いるべきではない」との見解を示しました。
最近でも、2020年12月16日ガーディアン紙に掲載されたイベルメクチンに関する初期の研究に科学的に誤った表現がなされていることが大きく報道されています。日本の医師に医学ニュースとして親しまれているとある情報サイトでも「イベルメクチン論文は捏造か?」といった主旨の、タイトルからして仰々しい記事が掲載されています。
もちろん、すべての科学は精査されなければなりません。しかし、この記事で訴えられている声とは逆にメタアナリシスから1つの研究を削除することで「結果が逆転する」とする科学的根拠はありません。心配なのは、この記事のタイトルはミスリードを誘うものであり、また最新の分析によると引用されたBryantによるメタアナリシスからElgazzarのデータを除外しても、これらのレビューの結論は変わらず予防・治療の両方においてイベルメクチンを支持する結果が出ていることです。
これらの非常に偏った報道は日本のみならず世界中で見かけられます。ジャーナリズムとしての誠実さに疑問を投げかけるものであると同時に人々の命に関わることですので、事実の訂正だけでは済まされません。
イベルメクチンに関するQ&A
最後にイベルメクチンについてよくある質問とその回答をまとめたいと思います。
【Q1】イベルメクチンは変異株にも効果がある?
A:イベルメクチンには新型コロナウイルスに対する5つの異なる作用機序があるため、変異株に対しても効果が期待されます。
【Q2】まだ実際に効果があるという十分なエビデンスがないため、エビデンスが明らかになるまで待つ方が良いのでは?
A:現時点で採用されている下記のいずれの治療法よりも、リスク/ベネフィットの面でイベルメクチンを使用する理論的根拠と妥当性があります。(24の対照試験より)
- 高コスト(レムデシビル、モノクローナル抗体、高力価免疫グロブリン、ワクチン)
- 重篤な副作用(レムデシビル、ワクチン)
- エビデンスが弱い、矛盾している、または存在しない(レムデシビル、モノクローナル抗体、高力価免疫グロブリン)
- ピアレビューされていない研究(レムデシビル、モノクローナル抗体、高力価免疫グロブリン)
- より広範な科学的レビューに利用できる印刷前の研究データが存在しない(ワクチン)
【Q3】ランダム化比較試験(RCT)を行うべきでは?
A:さらなる研究は行うべきですが、現在合計3,000人を超える患者が多数のRCTに含まれており、COVID-19に関連する罹患率と死亡率を考えると被験者に重大な害を及ぼす可能性が許容できないほど高くなる可能性があります。そのため現時点でRCTを行うことは非倫理的である可能性が高く、避けるべきです。
【Q4】イベルメクチンに関する論文の多くは査読されていないもの?
A:24件の対照試験結果のうち14件、また5件の症例報告のうち2件が査読されています。
- 特にパンデミックなどの際に、プレプリント論文の試験結果から治療法を発見することは医学を含む多くの科学の標準でした。全ての新しい治療は、査読論文が医学界により利用されるようになる前から始まっています。
- レムデシビル、コルチコステロイド、モノクローナル抗体、高力価免疫グロブリン、ワクチンはプレプリントで採用された治療法の例です。繰り返しになりますが、ピアレビュープロセスが完了される前に全てが広く採用されました。
【Q5】そもそもイベルメクチンは安全なのか?
A:イベルメクチンはWHOの「必須医薬品リスト」に含まれ、世界中でこれまで40億回以上投与されています。多くの研究から副作用の発生率が低いことが報告されており、副作用についてもその大部分は軽度で一過性(主に寄生虫の死に対する炎症反応に起因するかゆみ、発疹、リンパ節の腫れ、発熱、頭痛など)のものでした。対象者が5万人を超える大規模な研究では重大な副作用の発生率は1%未満で、主にロア糸状虫に感染した患者に投与した際に起こりました。
新型コロナウイルスとの共存の鍵にも
イベルメクチンは他の高価な治療薬が使えるようになるよりも先に、貧しい国の人々にも届けることができる薬です。アメリカ国立衛生研究所(NIH)やイギリス政府の支援を受け、オックスフォード大学ではすでに治験も始まっています。その効果を示すエビデンスは日に日に増え続けています。
このままイベルメクチンを使用する選択をしなければ、人類が新型コロナウイルスと共存できるようになるまでの期間が長くなる可能性が高いと考えられています。
※本記事は『統合医療でがんに克つVOL.159(2021年9月号)』にて掲載予定の『リオルダンクリニック通信28』を許可を得た上で一部調整したものです。
前田 陽子 (マエダ ヨウコ)先生の関連動画
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