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「ナットウキナーゼ」はワクチン後遺症治療の“救世主”となるか

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学医学部内科助教授を経て、2000年〜2008年同大学保健学部救 ... [続きを見る]

日本の研究者によって、ナットウキナーゼが新型コロナ感染の根本原因であるスパイク蛋白質を分解することが明らかになりました。この研究を受け、各国で「(mRNAワクチンによって誘導されたスパイク蛋白質が影響し不調を来している)コロナワクチン後遺症患者の治療にも応用できるのでは?」と話題になっています。

細胞内・細胞外にあるスパイク蛋白質の分解排泄が後遺症の根本治療です。細胞内のスパイク蛋白質はオートファジー機構で分解排泄すると考えられています。そして今回、細胞外にあるスパイク蛋白質をナットウキナーゼが分解することが明らかになったことで、より安全で効果的なコロナワクチン後遺症の治療が確立するのではないかと期待されています。

なお、オートファジーを含むワクチン後遺症治療に関してはこちらの動画でも詳しく説明しているので、まだご覧になっていない方は是非あわせてご参考下さい。

ワクチン接種後の長引く不調ー代表的な症状と原因ー

日本国内における新型コロナ感染が収束しつつある中で、大きな問題が浮上してきています。それはmRNAワクチン接種後のワクチン後遺症です。

日本では2021年2月より新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンの接種が医療従事者を対象に接種が開始されて以来、高齢者から乳幼児まで2年間に延べ約3億8千万回の接種が行われました。

このような接種事業が現在進行形で国策として行われていますが、これまでに様々なワクチン副反応および後遺症が報告されています。2023年3月10日に開催された「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」では、2000人以上のワクチン接種後の死亡事例が報告されています。

また、ワクチン接種による様々な副反応が報告されており、その中でも特に長期にわたり日々の仕事や生活に支障を来すレベルの慢性症状が問題となっています。慢性症状の代表的なものは以下の通りです。

  • 著しい疲労感、労作後の倦怠感
  • ブレインフォグ(記憶、集中、処理能力の低下)
  • 動悸
  • 四肢のしびれ
  • めまい
  • 睡眠障害 など

とはいえワクチン後遺症の病態には不明な点が多く、治療法も確立されていません。しかし、ワクチン後遺症の病態は主に(ワクチンによって)体内で生成されたスパイク蛋白質によるものであることがわかってきています(図1)。

スパイク蛋白質の炎症反応が自己抗体の生成、血管障害、血液凝固活性の亢進、ウイルスの再活性化、脳神経症状、そして免疫調整不全などを引き起こします。新型コロナウイルスは脳血液関門を通過しにくいため、脳神経細胞に影響を与えることは少ないとされています。その一方、mRNAワクチンによって誘導されたスパイク蛋白質は脳血液関門も通過し、脳の神経細胞に対しても炎症や障害を生じ、様々な脳神経症状を来す可能性があります。

<図1>スパイク蛋白質による障害


ワクチン後遺症治療の基本:4つの軸

ワクチン後遺症の治療の基本としては、主に次の4点が挙げられます。

  1. 体内の細胞内・細胞外に残存するスパイク蛋白質、ポリエチレングリコール、脂質ナノ粒子の分解・排泄を促す
  2. 炎症を沈静化させる抗酸化/抗炎症/抗血栓作用のある栄養素や薬剤を投与する
  3. 免疫機能不全を回復させるための薬物/栄養療法や生活改善を行う
  4. 機能不全となったミトコンドリア活性を高めエネルギー代謝を回復させる

この中でも最も重要なのが、1.体内の細胞内ならびに細胞外に残存するスパイク蛋白質を分解排泄することです。というのも、これがワクチン後遺症の根本原因の除去につながり、除去できなければ完全な治癒が難しくなるためです。

オートファジーによる細胞内スパイク蛋白質の除去

さて、細胞内のスパイク蛋白質の分解・排泄の機序としてオートファジーがあります。オートファジーとは、細胞内のスパイク蛋白質のような異常なタンパク質の蓄積を防ぎ、栄養環境が悪化した際にタンパク質のリサイクルを行う仕組みです。

このオートファジーの活性化が、細胞内のスパイク蛋白を除去する唯一のメカニズムの可能性があると言われています。そして、オートファジーの機能を活性化する方法としてファスティング、さらにイベルメクチンやレスベラトロールもオートファジーを促進する可能性があります。

ナットウキナーゼが細胞外スパイク蛋白質を分解する?

一方で、最近話題になっているのは細胞外のスパイク蛋白質を分解促進するのに「ナットウキナーゼ」が有効であるという研究です。ナットウキナーゼは、納豆の発酵過程で納豆菌が産出する酵素で、血栓溶解作用がある健康食品として販売されています。

2022年8月、科学専門誌『Molecules』に城西大学薬学部の研究室からナットウキナーゼがスパイク蛋白質を分解することが報告されました。

また、スパイク蛋白質を溶解するナットウキナーゼの量は、サプリメントとして摂取する用量で十分に効果が認められる可能性が示されています。研究者らは「ナットウキナーゼは新型コロナウイルスが細胞内に侵入することを阻害する、すなわちコロナ感染予防に有用であるだろう」と述べています。

ところが、この研究は感染予防というより「ワクチン後遺症患者がナットウキナーゼを摂取することによって、後遺症の根本原因であるスパイク蛋白質を分解するのではないか」という観点で話題になりました。

細胞内のスパイク蛋白質の分解はオートファジーが主体となりますが、ここで細胞外のスパイク蛋白質を分解するナットウキナーゼの登場によって、ワクチン後遺症の根本治療が一歩前進する可能性があります。

最近ではアメリカの救急医療の専門家が立ち上げた『FLCCC』でも、ワクチン後遺症治療プロトコルに新たにナットウキナーゼを追加しています。ナットウキナーゼをワクチン後遺症治療の1つに加える場合の投与量ですが、1日量として100〜200mgの摂取量で良いでしょう。





<参考文献>

・Rhea E et al S1 protein of SARS-CoV-2 crosses the blood–brain barrier in mice. Nature Neuroscience volume 24, pages 368–378 (2021)

・Tanikawa T et al. Degradative effect of nattokinase on spike protein of SARS-CoV-2. Molecules. 2022 Aug 24;27(17):5405

柳澤 厚生 (ヤナギサワ アツオ)先生の関連動画

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