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専門医が推奨する冷え症(低体温)予防対策【前編】

女性を中心に「冷え」と「低体温」に悩まされる方は多く、肩こりや頭痛などの体調不良のほか喘息などのアレルギー疾患、糖尿病や高血圧、うつ病などの精神疾患、そしてガンなどの発症や増悪を招く要因となっています。

低体温になると病気になりやすい主な理由として、一つにリンパ球などが不活発になることによる「免疫力」の低下、二つには酵素が不活性化することによる「代謝」の低下が挙げられます。

現代においてはコンクリートに囲まれた都市環境、絶え間ないストレス、運動不足、お風呂に浸からずシャワーで済ませる人の増加、冷蔵庫の多用や栄養バランスの乱れといった食生活の問題が影響し、低体温の人は増加傾向にあります。

このような冷えや低体温を改善するためには、有酸素運動や筋力トレーニングなどの運動、ぬるめの半身浴や手浴・足浴、あるいはビタミンやミネラル・抗酸化成分などの栄養素をしっかり含んだ野菜や果物(とりわけ根菜類)をたっぷり食べることが有効です。

冷えと低体温は様々な病気の原因に

女性を中心に「冷え」に悩まされる方は少なくありません。よくある症状としては、

  • 「手足先が痛いほど冷たい」
  • 「お腹や腰が冷えて胃腸の調子が悪い」
といった悩みが多く聞かれます。元々、人間の体温は36.5℃から37℃という設定になっていますが、冷えを訴える方の多くは平熱が35℃台と低体温の方が目立ちます。

こうした冷えや低体温は多くの病気に関係しています。例えば、頻度の高い体調不良としては、肩こりや腰痛、緊張型頭痛※1 などが挙げられます。体が冷えている方はほぼ例外なく筋肉内の血流が滞っているため、疲労物質や発痛物質が筋肉内に蓄積しています。

また、アトピーや喘息などのアレルギー疾患、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、うつ病やパニック障害などの精神疾患に関しては、低体温に伴う血流障害や代謝レベルの低下が発症ならびに増悪を招く大きな要因となっています。

特に低体温との関連が深い疾患として、「ガン」が挙げられます。ご存知の通り、ガンには肺ガン、大腸ガン、乳ガンなど様々な種類がありますが、日本では一部のガンを除き患者数は増加傾向にあります。そして、ガンの原因の一つとして低体温が注目されているのです。

※1:筋肉が緊張することで生じる。頭全体が締め付けられるような痛みが特徴。


<ここをチェック>
☑︎冷えで悩む人の多くは35℃台の低体温
☑︎低体温は肩こりや頭痛だけでなく、ガンや糖尿病、うつ病などを招く可能性がある

低体温が招くもの

それではなぜ、低体温になると様々な病気に罹りやすくなるのでしょうか。

まず第一に「免疫力」の低下が挙げられます。私たちの体内では、細菌やウイルスから体を守るためにリンパ球などの免疫細胞が活躍しています。

これらの細胞が最もよく働くのは体温が37~38℃の時です。そのため、35℃台の低体温になると30~50%も免疫細胞の働きが鈍くなり、結果として免疫力の著しい低下を招きます。

低体温が病気を招きやすい第二の理由は「代謝」が低下することにあります。人間が活動する上で必要なエネルギーを得るため、酵素を触媒として様々な化学反応を行っていますが、その酵素が最も活発に働くのは38℃〜40℃です。35℃台の低体温では酵素が十分に働かず化学反応がスムーズに進みません。

そのため、エネルギー生成が滞り、さらには不完全燃焼による活性酸素の産生が生じやすくなります。

糖質や脂質の代謝が不活発になると、糖尿病、高脂血症、肥満などの生活習慣病を発症しやすくなります。実際に糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞などの血管病変では高確率で低体温や代謝の低下もみられます。


<ここをチェック>
☑︎低体温の状態が続くと、免疫力と代謝が低下してしまう

ストレス?運動不足?低体温の原因は一つではない

一体なぜ、現代人にはこれほどまでに低体温の方が増えてしまったのでしょうか。原因の一つには、私たちを取り巻く「環境」の問題があります。例えば、都市部を中心にコンクリートや鉄骨で囲まれることで、私たちの体からは四六時中、体温が奪われています。

次に、現代人は「ストレス」に見舞われているということです。仕事や私生活上の絶え間ないストレスは、アドレナリンや副腎皮質ホルモンの過剰分泌を招きます。すると自律神経が交感神経優位となり、血管が収縮して血流が減少し体温が低下します。そのために代謝や免疫力、抗酸化力が衰え、様々な病気の誘因となります。

また、現代人は機械化や交通手段の発達などによって、極度の「運動不足」に陥っています。運動不足が日常化すると、筋肉内の血流が減少して代謝が低下します。そして、筋肉からの熱産生も減少し体温が低下した結果として、脂肪燃焼が不活発となって太りやすくなり、糖尿病などの代謝性疾患を招きます。

もう一つ、重要なポイントとして「入浴」があります。最近では若年層を中心に、湯船に浸からずにシャワーで済ませる人が多くなっています。しかし、シャワーを浴びるだけでは十分に温まりきらず、むしろ体を冷やしてしまいかねません。

一方、日々の「食事」も体温を左右する重要なポイントです。冷蔵庫や冷凍庫の普及、各種加工食品やインスタント食品の氾濫、農薬や化学肥料の乱用、栄養バランスの破綻は体温の低下を招く傾向にあります。

後編では、低体温の改善のためにできる対策について、「運動」「入浴」「食事」の3点から詳しくお伝えします。


<ここをチェック>
☑︎低体温の原因としては、コンクリートに囲まれた環境、ストレスの蓄積による血管の収縮、慢性的な運動不足、シャワー浴、食生活の影響が考えられる




※『専門医が推奨する冷え症(低体温)予防対策【後編】』は3月26日(金)配信いたします。お楽しみに! 

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