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ワクチン後遺症治療~スパイク蛋白のデトックス

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学医学部内科助教授を経て、2000年〜2008年同大学保健学部救 ... [続きを見る]

新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンの接種によって、様々な副反応や後遺症が起き、社会問題となっています。特に副反応はアナフィラキシーショックだけでなく、ワクチン接種後に脳卒中、心筋梗塞、心筋炎、そして因果関係を確定できない約2000人以上の死亡例が報告されています。さらに、ワクチン接種後に倦怠感、慢性疲労、頭痛、ブレインフォグ、脱毛、息切れ、胸痛、動悸、うつ症状、しびれ、めまい、じんま疹、月経異常、歩行障害など様々な症状が長期に続くケースも増加しています。これらはワクチン後遺症、あるいはワクチン接種後症候群とも呼ばれていますが、治療法が確立されていません。

スパイク蛋白がワクチン後遺症の病因に深く関わっている

スパイク・プロテインはコロナウイルスの表面にある突起で、細胞膜上のACE2受容体に付着します<図1>。新型コロナウイルスワクチンはmRNAを接種することで体内の細胞がスパイクタンパク質を作るようにプログラムし、ウイルスから体を守るための免疫反応を引き起こすように設計されています。当初は接種部位の筋細胞のみでスパイク蛋白が作られると公表されていましたが、最近では肝臓、骨髄、卵巣など全身の細胞にワクチンが集まり、スパイク蛋白を作っていることが分かってきました。

そして、このスパイク蛋白が組織や臓器全体に炎症と凝固を引き起こす可能性があることが報告されています。全身の細胞でスパイク状のタンパク質が作られることで、 実は自分の免疫システムが自分の体を攻撃することになりかねません。さらに、スパイク蛋白そのものが血管内皮細胞を始め、様々な細胞や臓器を傷つけることも指摘されています。特にワクチンが誘発した過剰なスパイクは自己免疫疾患などの基礎疾患のある人の病状をより悪化させる可能性があります。

<図1> コロナウイルス

スパイク蛋白の有害作用がワクチン後遺症と深く関わる

最近ではスパイク蛋白が血栓症、ブレインフォグ、組織性肺炎、心筋炎などの有害作用やワクチン後遺症に深く関わっていると指摘されています。当初はワクチンによってmRNAが注入された細胞で作られたスパイク蛋白は中和抗体を誘導します。このスパイク蛋白は短時間で体内から消失すると考えられていました。ところが最近の研究では数日間から数ヶ月、あるいはそれ以上の長期間にわたってスパイク蛋白が作られる可能性もでてきています。これが事実ならば、体内に残されたスパイク蛋白を解毒することはワクチン後遺症の治療戦略として最重要課題となります。しかし、細胞の中にあるスパイク蛋白を確実に分解し、排泄させる方法は明らかではありません。その中で最も有望なのが間欠的ファスティング(断食)です。

間欠的ファスティングがスパイク蛋白を排除する

前回でも紹介したポール・マリック医師の率いる米国救命救急医学専門家集団FLCCCアライアンスがワクチン接種後症候群の治療プロトコルを提唱しています。そのファーストライン治療(第一選択治療)のトップが間欠的ファスティング(プチ断食)です。

断食は細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つであるオートファジー (Autophagy) を促進します。オートファジーとは、細胞内での異常なタンパク質の蓄積を防いだり、過剰にタンパク質合成したときや栄養環境が悪化したときにタンパク質のリサイクルを行ったり、細胞質内に侵入した病原微生物を排除する仕組みのことです<図2>。マリック医師らはオートファジーの活性化が、細胞内のスパイクタンパク質を除去する唯一のメカニズムの可能性があると期待しています。

<図2> オートファジーの仕組み

細胞質内でリン質二重構造の隔離膜が出現して異常蛋白や病原菌などを包み込む。そこに分解酵素を内包するリソソーム(図のオレンジの袋)が接着して分解酵素を注入、異常蛋白や病原菌を消化分解する。分解されたアミノ酸などは細胞内でリサイクルされる。

このオートファジーの研究により東京工業大学の大隅良典栄誉教授は2016年にノーベル医学・生理学賞を受賞しています<写真>。オートファジー機構は、例えばアルツハイマー病の進行に関わるアミロイドタンパク質をオートファジーで除去することで、アルツハイマー病の予防にも重要な役割を担っています。

<写真> オートファジーの研究でノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典先生

具体的な間欠的ファスティングの方法としては毎日の16時間ファスティングが推奨されます。夕食をできる限り早く食べて、翌日の昼まで水分補給以外は口にしません<図3>。

<図3>16時間ファスティング(断食)の模式図

なお、18歳未満の患者(成長が阻害される)、栄養失調の患者(BMI<20kg/m2)、妊娠中および授乳中の婦人はファスティングができません。糖尿病、痛風、重篤な基礎疾患のある患者さんは、投薬の変更が必要な場合があり、断食を実施する前に主治医に相談してください。

胃液の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬は、オートファジーを阻害するために投薬を中止するのが賢明です。なお、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛、マグネシウム、ケルセチン、N-アセチルシステイン、クルクミン、オメガ3脂肪酸などの併用はワクチン後遺症の治療の基本となります。

おわりに

コロナ後遺症は自分がコロナ感染したことが原因となります。一方、ワクチン後遺症はコロナ感染の重症化や感染予防として政府が積極的に推し進めた政策であり、かつ十分な後遺症に対する対策はできていません。医師として患者さんの病気を治すのが使命です。しかし、ワクチン後遺症の治療はこれまでの自分の経験や知識、海外の情報に頼らざるを得ません。

国が率先してこの社会問題を正面から解決することを願うばかりです。

柳澤 厚生 (ヤナギサワ アツオ)先生の関連動画

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