ログイン 会員登録

ワクチンを接種してもマスクは外せない:アメリカで発生した集団感染からわかること

この記事の執筆者

鎌倉元気クリニック

一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会 代表理事。鎌倉元気クリニック 名誉院長。 杏林大学医学部卒、同大学院修了。 医学博士。杏林大学医学部内科助教授を経て、2000年〜2008年同大学保健学部救 ... [続きを見る]

2021年7月30日、米国疾病管理センター(CDC)からニュースルームに発表された週報の記事が世界を駆け巡りました。

内容としては、マサチューセッツ州で開催されたイベントで新型コロナウイルスの集団感染が発生し、このうち74%の感染者がワクチン接種者だったというものです。本日はこの集団感染に関する詳細を解説いたします。

マサチューセッツ州のサマーイベントでコロナの集団発生

2021年7月3日から17日の期間に、マサチューセッツ州のバーンスタブル郡の町で複数のサマーイベントが開催され、全米から何千人もの旅行者が訪れました。この地域はワクチン接種率が69%と高く、多くの人がマスクなしでイベントに参加していました。

そして7月10日、マサチューセッツ州公衆衛生局は、住民とバーンスタブル郡を訪れた人々の中に新型コロナウイルス感染者が増加しているとの第1報を受け取りました。公衆衛生局によれば、1週間前の7月3日時点における過去14日間の新型コロナウイルス感染者数は住民10万人あたり1日0人でした。ところが、2週間後の7月17日には177人にまで増加していたのです。

調査したところ、コロナに感染した人々は密集した屋内および屋外イベントに参加し、さらにはバーやレストラン・ゲストハウス・レンタルホームに集まってマスクなしで参加している人も多くいました。

集団感染のほとんどはデルタ株

公衆衛生局はただちにマサチューセッツ州の新型コロナ監視システムを使い、7月10日から26日における旅行履歴データを解析して住民の中のクラスターを特定しました。また、州のワクチン接種登録システムから感染者のワクチン接種記録についても確認を行いました。

その結果、7月6日から7月25日の期間にPCR検査でマサチューセッツ州の住民469人の感染者が確認されました。性別では男性が85%を占めており、年齢分布は1歳〜76歳にわたり中央値は40歳でした。感染者469人のうち199人(42%)がバーンスタブル郡の住民でした。

346人(74%)に新型コロナウイルス感染としての症状が認められ、5人が入院しましたが7月26日時点で死者はゼロでした。入院患者の1人(50代)はワクチン非接種で複数の基礎疾患を有していました。残りの20〜70代の4人の入院患者のうち2人も基礎疾患を有していました。そして、133人の患者についてゲノム配列を解析したところ、119人(89%)がデルタ変異株、1人(1%)はデルタ株から派生した新しい系統の変異体でした。残りの 13人(10%)はゲノム配列を決定できませんでした。すなわち今回の集団感染のコロナウイルスは感染力が強いデルタ変異株だったのです。

感染者のうち74%はワクチン接種済み

今回の集団感染における感染者469人のうち346人(74%)がファイザー社・モデルナ社・ジョンソン社いずれかのワクチンを接種済みでした<図>。マサチューセッツ州住民のワクチン接種率が69%であることを考えると、今回の集団発生に関してはワクチン接種の効果がほとんど認められませんでした。

<図>新規患者の発生数とワクチン接種者の割合


ワクチンを接種していた感染者346人のうち、274人(79%)に徴候や症状が認められました。最も一般的な症状としては以下のようなものが挙げられます。

  • 頭痛
  • 喉の痛み
  • 筋肉痛
  • 発熱

ワクチン接種14日後からワクチンの効果が発現すると仮定すると、その後 6日から178日で感染したことになります。

ワクチン接種者のウイルス飛散量は非接種者と同レベル

ワクチン接種によって、ウイルス量が少なければ感染しても症状は軽くなり、人への感染も抑えられるはずです。ところが、今回のケースではワクチン接種を受けた127人の患者の検体のリアルタイムPCR解析におけるCt値(中央値= 22.77)は、ワクチン接種を受けていない84人の患者(中央値= 21.54)とほぼ相違がなく同じレベルでした。

つまり、ワクチンを接種しても感染すればウイルス飛散量は非接種者とほとんど変わらず、人への感染力が低下することはないということです。この結果から、ワクチンを接種したとしてもマスクから解放されることはなく「人が集まる場所ではマスクをするように」とCDCでは方針を変えざるを得なくなりました。

ワクチンのみではパンデミック収束は困難か

今回取り上げたマサチューセッツ州での集団感染は、現在行われているワクチン政策に多くの問題点を提起しています。まとめると以下の通りです。

ワクチンを接種しても、

1.新型コロナウイルスに感染する可能性がある

2.感染した場合、70%以上に症状が出現する

3.感染した際の飛沫のウイルス量は非接種者と同じレベルである

4.感染すると飛沫によって周囲に感染させる可能性がある

5.特にデルタ株には予防効果が低い可能性がある

6.集団の場ではマスクは必須である

7.ワクチンやワクチンパスポートのみではパンデミックを終わらせることは難しい

新型コロナに対する栄養療法

最近になり、北米に生息しているオジロジカの半数が新型コロナウイルスの抗体を持っていることが明らかになりました。これは人類が新型コロナウイルスとほぼ永久的に共存しなければいけないことを意味しています。新型コロナウイルスは私たち人間が健康であれば克服できます。

多くの健康体の若者の場合、新型コロナに感染したとしても無症状〜インフルエンザ程度の症状です。この実態こそ、健康で免疫力が高い状態であれば新型コロナウイルスを克服できる最強のエビデンスと言えるのではないでしょうか。

また、免疫力を高めるためにすぐに導入できる予防法はエビデンスのある栄養療法です。国際オーソモレキュラー医学会では昨年から、新型コロナウイルスの感染予防と重症化を防ぐためのサプリメントの種類と推奨量を提唱しています。

【新型コロナウイルスの感染予防と重症化を防ぐためのサプリメントの種類と推奨量】

ビタミンC   1日3gを分服

ビタミンD   1日2,000IU

亜鉛      1日20mg

セレン     1日100µg

マグネシウム    1日500mg

おわりに

新型コロナとの戦いが始まってから約22ヶ月経った今、改めて栄養療法の必要性を実感しています。ワクチン接種の有無に関わらず、国際オーソモレキュラー医学会では新型コロナウイルスの感染予防と重症化予防対策としての栄養療法の周知を目指します。





<参考ウェブサイト>
・https://www.aphis.usda.gov/animal_health/one_health/downloads/qa-covid-white-tailed-deer-study.pdf
・https://news.yahoo.co.jp/articles/cae93a52e2e619150f5e4d2c23b4636f33bd5c13

柳澤 厚生 (ヤナギサワ アツオ)先生の関連動画

同じタグの記事を読む