米国ニューヨーク州にあるコーネル大学において新型コロナウイルスのオミクロン株感染が広がっています。イサカ街にあるコーネル大学のキャンパスでは、2021年12月8日〜14日の1週間で1,082人の新規陽性者が発生しました。これは194人であった前週と比べて急激な増加であり、12月14日の1日だけでも269人の新規陽性者が出ました。
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オミクロン株とワクチン接種―各国のデータから考察するー
これまで世界中で猛威を振るったデルタ株ですが、新たな変異株「オミクロン株」が出現したことで、デルタからオミクロンへの置き換わりが世界中で進むと言われています。
そこで気になる方が多いのが、オミクロン株の毒性と感染力かと思います。今回は日本よりも早い段階でオミクロン株感染者が急増している各国の実際のケースを紹介いたします。
オミクロン株は果たして“脅威”となり得るのか?オミクロン株に対するワクチン接種の必要性はいかほどか?少しでも本稿が各々の答えを導き出すきっかけになれば幸いです。
コーネル大学におけるオミクロン株の集団感染
マーサ・ポラック学長は、大学検査チームの調査で陽性者の多数にオミクロン変異株が検出されていると公表しました。また、大学当局はアラートレベルを3段階の最高レベルに引き上げて授業や期末試験をオンラインに変更し、予定されていた式典の開催を全て中止しました。
コーネル大学では以前よりワクチン未接種者がキャンパス内に入ることを徹底的に制限し、学生や教職員に対してワクチン接種を勧めています。
なお、12月16日現在でキャンパスの学生26,017人の99%、教授や教職員などの教育スタッフ13,295人の100%、それ以外の就労者の93%がすでにワクチンを接種し、大学キャンパス人口で換算すると97%がワクチン接種済みでした。(1)(2)
オミクロン株の特徴は「感染力の強さ」と「重症化率の低さ」?
南アフリカの民間病院は、12月18日までにオミクロン株に感染した患者の多くが無症状から軽〜中程度の症状であると報告しています。49病院を展開するネットケアのフリードランドCEOによると、この割合については12月14日までの直近30日間以内の情報を基にしているとのことです。
そして同CEOはオミクロン株に対して「入院や死亡にいたるほどの重大な症状をもたらすことを示す科学的根拠はまだ見出せていない」と述べました。
さらにフリードランドCEOはオミクロン株の感染力についてはデルタ株よりも4.2倍ほど高く、今後オミクロン株が主流となることを認識していると言います。
一方、現在の南アフリカにおけるコロナ新規感染者の多くがオミクロン株感染者であるものの、新型コロナが流行した初期段階よりも酸素を必要とする患者が非常に少ないことなどを踏まえても、オミクロン株が“致死性のウイルス”とは言えないのではないかと疑問を感じているとのことです。
なお「ネットケア」でこれまで受け入れたコロナ患者の内訳として、73%はワクチンを接種していない患者であり、その多くが若年層であることにも注目しています。(3)
オミクロン株に対するワクチン効果を考える
コーネル大学のケースのように徹底したワクチン接種を実施したコミュニティでは、集団免疫が形成されていることが期待されます。
しかし、ほぼ全員がワクチン接種を終えているコーネル大学でオミクロン変異株のブレイクスルー感染が生じていることから、オミクロン株に対するワクチンの感染予防効果については限定的であると考えられます。
前述の通り、オミクロン株に関して言えば、感染力は強いものの重症化しにくいことが次第に明らかになってきています。そうなると、このままデルタ株がオミクロン株に置き換わることで、ワクチン接種あるいはブースター接種そのものの意味が薄れていく可能性もあります。
そのため、ブースター接種については今後の動向を慎重に見極めてから各々が判断するべきだと考えます。
なお、イギリスにおいてはオミクロン株新規感染者が18日、19日ともに1万人を超え、置き換わりが急速に進んでいるようです。同国におけるオミクロン株の感染者は累計で3万7000人、そのうち7名の死亡が確認されたとのことです。(4)
この7名の年齢や持病の有無、ワクチン接種の有無などの詳細情報はわかりません。
しかしながら、こうした数字からウイルスの毒性を各々の尺度で検討することは、今後も変異が続くことが考えられる状況下において、ワクチン接種をするか否かを決める上でも重要な判断材料になると考えます。
健康な子どもへのワクチン接種の必要性はあるのか
さらに、2022年3月以降に開始される5〜11才の児童に対するワクチン接種については、さらに慎重な判断が必要です。大前提として、日本におけるこの年齢の子どもが新型コロナウイルスに感染しても重症化するケースはほとんどありません。
したがって、健康体である多くの子どもにとっては明確な“ベネフィット”と言えるものがないので、ワクチン接種の意味はありません。
ましてデルタ株と比べてもより重症化しにくいことが想定されるオミクロン変異株です。現時点での子どもに対するワクチン接種の意義は極めて低いと考えています。
また、ワクチン接種者の“ブレイクスルー感染”率は自然感染者より数倍高いと結論付けている論文もあります。(5) しかし、オミクロン株の感染力が強く、感染したとしても重症化しにくいのであれば、自然感染が有効であると考えるのは私だけでしょうか。
子どもにワクチンを接種させることによって子どもを新型コロナ感染から大人を守るための「人間の盾(human shield)」にすることは、あってはなりません。
ウイルスは変異すれど予防対策は変わらず
新型コロナパンデミックが始まった当初も、デルタ株・オミクロン株と変異を続けている現在も、今後新たな変異株が生まれたとしても、感染対策は変わりません。
マスクに手洗い、アルコール消毒は基本の予防対策になります。それに加えて積極的な予防対策として、国際オーソモレキュラー医学会では以下の栄養素の摂取を推奨しています。
- ビタミンC
- ビタミンD
- 亜鉛
- セレン
- マグネシウム
この中でもビタミンC・ビタミンD・亜鉛は、感染予防および重症化予防に役立つ栄養素です。また、これら3種類は比較的安価で入手しやすいものです。自分のたった一つの大切な体を守るための投資として、高すぎることはないと考えます。
「5種類も摂るのはハードルが高い」「金銭的な負担が大きい」という場合、まずはこの3種類の栄養素の摂取をおすすめいたします。
<参考文献>
(1)https://covid.cornell.edu/testing/dashboard/(コーネル大学のワクチン接種率とコロナ陽性者発生件数)
(2)https://statements.cornell.edu/2021/20211214-LTBmB1-ithaca-alert.cfm(コーネル大学・学長の声明)
柳澤 厚生 (ヤナギサワ アツオ)先生の関連動画
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