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白金パラジウムによる間質性肺炎の新しい治療法の開発~改善例、研究例と関連させて~ 第五報:間質性肺炎の分類説明

この記事の執筆者

桐生大学医療保健学部 栄養学科 人体構造機能学

前回間質性肺炎について白金パラジウムとの関係性について説明を行ったが、今回はそもそも間質性肺炎とはどのようなものか、またその病態はどのようなものなのかについて説明を行う。間質性肺炎は肺胞の間質で引き起こされる炎症の総称である。我々の体内には肺胞においてガス交換を行っているが、肺胞で炎症が引き起こされるとガス交換が上手くできずに呼吸苦に陥ってしまう。その結果として生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)が著しく低下してしまうため、早めに受診してその進行を抑えることが必要である。

肺胞について

我々の肺は気管から始まり気管支から肺門を通じて枝分かれしていく。そして最終的に終末細気管支、呼吸細気管支、肺胞となる。よくコメディカルの国家試験においてもこの辺りが国家試験に出やすいところであるが、その理由として、終末細気管支以降は軟骨がなくなるためである。

もし肺胞まで軟骨で構成されてしまっていたらどうなるか、当然硬い分膨らまなくなってしまうために、軟骨で構成されることはない。肺胞はブドウの房のような形で存在しているが、おおよそ3~7億個あると言われている。

この肺胞の周囲には肺静脈と肺動脈が巻き付いており、ここでガス交換を行うのである。肺胞の表面にはサーファクタント(表面活性物質)が存在しており、肺の膨らみ方(肺コンプライアンス)を調節している。そして肺胞壁に存在するのが「間質」である。間質性肺炎は、間質が本態性に炎症を起こすことで、徐々に線維化していく疾患の総称である。線維化によって間質が硬くなると、酸素の透過性が脆弱となってしまうために、結果的に、肺胞から肺静脈に酸素が到達することができずに呼吸苦を招いてしまう。つまり、全身において酸欠が生じている状態である。

原因別にみる間質性肺炎

前回も述べたがさらに間質性肺炎を原因別にみてみると以下のようになる。

  • 特発性間質性肺炎

特発性の間質性肺炎は、その名のとおり原因不明で発症し、間質性肺炎患者の八~九割を占めると言われている。

  • 自己免疫性間質性肺炎

自身の抗体が肺胞の間質に作用することで発症するものである。膠原病や自己免疫疾患で合併症として見られることも多くある。つまり免疫系の異常によって生じてしまうということが言える。

  • 薬剤性間質性肺炎

間質性肺炎は、抗がん剤をはじめ、先に述べた膠原病や自己免疫疾患におけるステロイドの副作用や生物学的製剤の副作用などによっても引き起こされるということが分かっており、添付文書にも間質性肺炎の発症が示されている。

  • 職業・環境による間質性肺炎(過敏性肺炎)

ホコリやカビ、ペットの毛、化学物質などを長期的に吸引することで発症するものである。一時期現在より労働環境が良くなかった時代に労働衛生として問題となったこともあった。

現在でも労働衛生三管理を厳守しないと引き起こされてしまう可能性がある。

  • その他原因によって発症する間質性肺炎

白血球の一種である好酸球の影響によって引き起こされる肺炎(好酸球性肺炎)、全身の細胞に炎症を引き起こすサルコイドーシスを含む間質性肺炎も指摘される。

早めの受診が重要

いずれの間質性肺炎においても、慢性的な炎症が起こった間質は徐々に効果が認められる。肺疾患による息切れ・セキは加齢現象と自身で捉えられることがあり、受診しないことによって知らず知らずのうちに症状が悪化していく可能性も否定できないため、早めの受診によって肺の状態を確認することが重要である。

間質性肺炎のほか、同じく難治性の肺疾患として知られるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)で起こる息切れの程度は「MRCスケール」と呼ばれる指標で示すことができる。MRCスケールによって確認される数値の多くは、間質性肺炎の進行度と相関性があると言われているため、MRCスケールで一度確認するのも良いかもしれない。

まとめ

間質性肺炎によって起こる呼吸機能の低下は深刻で、多くの患者は進行とともに喀痰・咳嗽のみならず最終的には呼吸苦が生じる。患者によっては、歩行時はもちろん、衣服の着脱や入浴、電話や会話をするだけで息切れや呼吸困難を起こすなど、QOLやADLが著しく下がってしてしまうことがあるため注意が必要である。

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