間質性肺炎は肺の間質を中心に炎症が起こる疾患の総称です。肺胞は大きく実質と間質に分けられ、肺胞の中を実質、肺胞の壁や周囲の組織を間質といい、この間質に炎症性変化を生じた場合に間質性肺炎と呼んでいます。
- 治療法・栄養
白金パラジウムによる間質性肺炎の新しい治療法の開発 ~改善例、研究例と関連させて~ 第一報:間質性肺炎、COPDとは?
現在、国際疾病分類がICD-10からICD-11になったことで日本における肺炎の死亡率は低下しました。しかし患者の絶対数に変化はなく、ICD-10では「肺炎」としてまとめていたものをICD-11より「肺炎」と「誤嚥性肺炎」に分けたために死因としては減ったように見えているだけです。
また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)による死亡は2030年には世界で第3位になると言われているため、肺疾患に対するアプローチは急務です。しかしながら肺は非常に複雑な構造をしており、なかなか治療に結びつかないことも多々あります。
今回、日野厚生クリニックが使用した白金パラジウムを用いて、間質性肺炎の患者およびCOPDの患者にアプローチしたところ、改善例が多数見られました。数回に分けてこの症例及びメカニズムについて解説を行っていきます。
間質性肺炎とは
間質性肺炎は原因が特定できるものとして“自己免疫性間質性肺炎”、“職業環境性間質性肺炎”、“医原性間質性肺炎” があり、原因が特定できないものを“特発性間質性肺炎”としています。
また、間質性肺炎は2013年のATS/ERSによる分類において、
1) Major IIPs
- Idiopathic pulmonary fibrosis (IPF)
- Idiopathic nonspecific interstitial pneumonia (idiopathic NSIP)
- Respiratory bronchiolitis interstitial lung disease (RB-ILD)
- Desquamative interstitial pneumonia (DIP)
- Cryptogenic organizing pneumonia (COP)
- Acute interstitial pneumonia (AIP)
2) Rare IIPs
- Idiopathic lymphoid interstitial pneumonia (LIP)
- Idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis (PPFE)
3) Unclassifiable
- Unclassifiable IIPs
の9分類とされています。
本研究ではIdiopathic pulmonary fibrosis (IPF)の患者を対象として、新しい治療法の可能性について検討を加えました。間質性肺炎では、炎症によって徐々に肺胞壁が線維化し、肺サーファクタント蛋白-D(SP-D)が上昇します。肺胞機能が低下することで、吸気によって酸素を取り入れることが困難となるために、息苦しさや咳き込むと言った呼吸器症状が確認され、最終的には呼吸不全に陥る可能性も指摘されています。
現在のところ、有効な治療法はなく対症療法として間質性肺疾患に対する免疫抑制剤等を用いるのみとなっています。
COPDとは
一方、COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、慢性呼吸器疾患の一種であり、肺胞の破壊や炎症を惹起することで、息切れ等の呼吸器症状を呈し、不可逆的に進行する慢性疾患です。
COPDの多くは喫煙が最大のリスク要因となりますが、その他の環境汚染等によっても引き起こされる可能性が示唆されています。COPDに対しては間質性肺炎同様、有効な治療方法が確立されておらず、保存療法において酸素吸入やQOLの維持・増進を行うしかないとされています。
疫学的には2030年までにWHOが予測した内容として、世界の死因第3位になるとも言われています。
またCOPDは疫学的な調査において肺がんの罹患リスクが高いことも示唆されています。これまでCOPDに対しては禁煙、抗酸化物質、食事療法、代替療法が中心とされていましたが、これらは進行を遅らせることを目的とされてきました。
日野厚生クリニックの臨床経験では、COPDの患者への白金パラジウムを投与で約40~50%の患者において自覚症状等の改善傾向がみられています。以上の理由から間質性肺炎についても同様の治療効果があると期待されたため、症例の検討を行いました。
次回、改善に使用した白金パラジウムについて報告を行います。
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